1.ヒト血液検体の細胞単層配列に最適なポリマーの同定 昨年度の検討で見出されたポリマー候補分子およびその構造類似体を使用し、ヒト血液検体における高密度細胞単層配列において十分な表面処理効果を有するポリマーの同定を試みた。健常者の血液3mlに培養がん細胞を一定量混合した疑似患者血液を使用し、赤血球および血小板を除去した細胞懸濁液を平板上に滴下し、基板全面に細胞懸濁液が自然に行き渡るか否か、さらに抗体染色、洗浄等の操作後も細胞が剥離せず、高密度に保持できるか否かを調べた結果、従来の表面処理法である酸素プラズマ処理を行った場合と同等の効果を有するポリマー分子を同定することに成功した。 2.がん患者の血液検体を用いた画像認識による血中循環がん細胞(Circulating Tumor Cells; CTC)検出 研究協力者より提供を受けた患者由来の血液サンプルから赤血球と血小板を除去した細胞懸濁液を使用し、上記の検討で明らかとなった高密度細胞単層配列に最適なポリマーをスピンコートした平板状基板上に細胞を展開した。洗浄操作後、上皮細胞マーカーであるEpCAMおよびサイトケラチンに対する蛍光標識抗体、白血球マーカーであるCD45に対する蛍光標識抗体、各染色歯薬であるDAPIを用いて免疫多重染色を行い、CTCの検出が可能か否かについて検証を行った。その結果、疑似患者血液を用いた場合と同様にポリマーコート基板上でのCTC検出が可能であることが明らかとなった。
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