研究課題/領域番号 |
22H03989
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80404119)
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研究分担者 |
玉田 泰嗣 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (50633145)
高橋 陽助 長崎大学, 病院(歯学系), 医員 (00909187)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 摂食嚥下 / 多点表面筋電図 / 筋シナジー解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,前頸部表面筋電位信号から,摂食嚥下の各フェーズにおける筋シナジーを抽出し,嚥下諸器官の機能評価と誤嚥リスク判定を行う新たな技術開発を目的としている. まず,舌骨上筋群と舌骨下筋群を覆う自作の44チャンネルフレキシブル電極を用いて,一回嚥下量(1,3,6ml)や嚥下手法(通常嚥下,努力嚥下)の異なる嚥下時表面筋電位信号を若年者群と高齢者群から収集した.そして,非負値行列因子分解による信号解析を行うことで,表面筋電位信号から,①食塊の咽頭への送り込み,②嚥下反射前半(舌骨挙上),③嚥下反射後半(喉頭閉鎖)への対応が考えられる3つの筋シナジーを抽出できることを示した.さらに,これらの筋シナジーから,嚥下反射の遅れや一回嚥下量変化への対応力など,加齢に伴う嚥下機能低下を非侵襲的に検出できることを明らかにした. 次に,抽出した筋シナジーと嚥下諸器官の運動との対応関係を詳細に解析するために,超音波診断画像と前頸部多点表面筋電位信号の同期計測システム,ならびに,嚥下造影画像と前頸部表面筋電位信号の同期計測システムをそれぞれ構築した.前者においては,超音波プローブと多チャンネル電極が干渉しないよう,筋シナジー抽出に影響のない小型ブロック電極を新規製作し,44チャンネルフレキシブル電極を用いた場合と同様に,3つ筋シナジーを抽出できることを確認した.後者においては,研究分担者の協力のもと,摂食嚥下障害患者を対象とした,嚥下造影検査における造影画像と前頸部多点表面筋電位信号の収集を開始し,基礎的な解析プログラムを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う深刻な半導体不足により,筋電計(特注品)の導入に一部遅れが生じた.一方,限られた台数の中で基本的なシステム開発や解析技術を構築し,筋電計が導入されるまでの間に研究環境を整えることで,おおむね順調に研究を進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
前頸部多点表面筋電位信号,超音波診断画像,嚥下造影画像,口腔機能データなど,各種データの収集を継続する.そして,超音波診断画像や嚥下造影画像を用いて,嚥下フェーズ(準備期・口腔期・咽頭期)における嚥下諸器官の運動と,抽出した筋シナジーとの対応関係を詳細に解析する.
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