研究課題/領域番号 |
23H00606
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小峯 和明 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (70127827)
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研究分担者 |
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386569)
染谷 智幸 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (90316498)
山本 聡美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00366999)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 景観・環境文学 / 東アジア / 16世紀前後 / 漢字漢文文化圏 / 資料学 |
研究実績の概要 |
16世紀前後を中心とした日本と東アジアの〈環境・景観文学〉をめぐって、A自然地理、B聖地と名所、C都市と周縁、D災害、E世界観・宇宙観の5項目にわたる基本軸を設定し、さらには異域や異界など幻想・架空の領域をも加えて、日本・中国・朝鮮・ベトナムなどにまたがる〈漢字漢文文化圏〉の領域を対象に総合的に検証する枠組みを構築し、関連する一次資料と研究文献を収集、リストを作成し、資料集にまとめる基盤を整えた。 初年度は、7月にハノイのタンロン大学での国際シンポジウム「中近世におけるベトナムと東アジア諸国間の文化・文学交流」に合わせて〈環境・景観文学〉をめぐるワークショップを開催し、活発な意見交換を行い、さらに国際シンポジウムにおける基調講演でも東アジア文学圏における〈環境・景観文学〉の問題を提起した。 さらに、12月に北京の清華大学の招待講演において、〈環境・景観文学〉をテーマに講演し、2月にアメリカのコロンビア大学において、〈環境・景観文学〉をめぐるワークショップを実施し、3月には韓国の高麗大学の招待講演においても、〈環境・景観文学〉の観点から特に龍と龍宮の形象をめぐって講演を行い、大きな反響を得ることができた。 また、資料調査に関しては、国内は天理図書館、大阪歴史博物館、南方熊楠顕彰館、平戸の松浦史料館など、海外ではニューヨーク・パブリック・ライブラリーのスペンサーコレクション、マラッカの鄭和館等々でそれぞれ調査を実施し、今後の研究に関連する貴重な資料を種々見出すことができた。 コロナ禍がようやく明けて、海外での調査や各種ワークショップ、国際会議が開けるようになり、ほぼ計画通り円滑に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.研究会の組織化と継続:日本と東アジアの〈環境・景観文学〉課題遂行のために研究組織として、朝鮮漢文を読む会、ベトナム漢文を読む会、日韓古典研究会、南方熊楠資料研究会、キリシタン文学研究会、東アジア古典研究会等々、継続中の各種研究会とタイアップさせて、対面・オンライン併用の研究会を推進した。 2.資料集作成のための作業部会:資料集作成の作業部会をあらたに組織化して、計画を進めたが、メンバーの異動が多く予定通り進展できず、現有メンバーで種々の情報・意見交換を行うに止まった。領域が多岐にわたるため、作業が煩雑化するが、最終年度内のまとめをめざしている。 3.資料の調査・収集:国内調査では、天理図書館での朝鮮本、大阪歴史博物館での奈良絵本系の絵巻、紀伊田辺の南方熊楠顕彰館での南方熊楠旧蔵資料、平戸の松浦史料館での筆写資料等々の調査を実施した。海外では、ニューヨーク・パブリック・ライブラリーのスペンサーコレクションの絵巻及び絵入り本、マラッカの鄭和館等々でそれぞれ調査を実施し、今後の研究を推進する上で貴重な資料を種々見出し、入手することができた。 4.国際シンポジウム及びワークショップの企画、開催:7月にハノイのタンロン大学での国際シンポジウム「中近世におけるベトナムと東アジア諸国間の文化・文学交流」に合わせて〈環境・景観文学〉をめぐるワークショップを開催し、活発な意見交換を行い、国際シンポジウムにおける基調講演でも〈環境・景観文学〉の問題を提起した。12月に北京の清華大学の招待講演で、〈環境・景観文学〉をテーマに講演し、2月にアメリカのコロンビア大学で〈環境・景観文学〉をめぐるワークショップを実施し、3月に韓国の高麗大学で〈環境・景観文学〉の観点から特に龍と龍宮の形象をめぐって講演を行い、重要な問題提起に対する反響が大きかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究会の組織化と継続:従前の朝鮮漢文を読む会、ベトナム漢文を読む会、日韓古典研究会、南方熊楠資料研究会、キリシタン文学研究会、東アジア古典研究会等々、継続中の各種研究会とタイアップさせ、これにあらたに琉球資料を読む会も加えて、対面・オンライン併用のハイブリッド研究会を推進する。 2.資料集作成のための作業部会:資料集作成のための基礎データ集積作業を継続し、情報・意見交換を密にし、資料集公刊に向けて資料のリストアップを行い、データ目録を集積統合し、主要資料群の解題の分担執筆を進め、それらにもとづく資料収集を徹底する。 3.資料の調査・収集:国内調査は、紀伊田辺の南方熊楠顕彰館などの関西地区、長崎、福岡、沖縄など九州地区の公立図書館・博物館等々に重点を置き、可能であれば北海道にも赴く。海外は北京、ソウル、ハノイを主とする東アジアの〈漢字漢文文化圏〉に関する資料調査、及びアメリカのハーバード大学美術館、ボストン美術館、メトロポリタン美術館、パブリック・ライブラリーのスペンサーコレクション等々における絵巻などの絵画資料類の調査を実施する。 4.国際シンポジウム及びワークショップの企画、開催:今年度末にハーバード大学とコロンビア大学とで〈環境・景観文学〉をめぐる国際シンポジウムを開催する予定で計画を進めている。また、北京の清華大学、ハノイのタンロン大学やソウルの高麗大学及びソウル大学等々での〈環境・景観文学〉に関するワークショップ及び講演会などの企画も進行中である。 5.ニュースレターの編集、発行:それまでの活動を中心にニュースレターを作業部会主体でまとめる。以上はすべて代表者と分担者及び研究会、作業部会のメンバーとの協同で遂行し、研究協力体制の推進をはかってゆく。
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