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2024 年度 実施状況報告書

画題と画論および粉本の生成受容圏から見た中近世文芸の表象と展開に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K25305
配分区分基金
研究機関国文学研究資料館

研究代表者

齋藤 真麻理  国文学研究資料館, 研究部, 教授 (50280532)

研究分担者 龍澤 彩  金城学院大学, 文学部, 教授 (00342676)
井田 太郎  近畿大学, 文芸学部, 教授 (20413916)
小助川 元太  愛媛大学, 教育学部, 教授 (30353311)
山本 嘉孝  国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (40783626)
粂 汐里  神奈川大学, 国際日本学部, 助教 (50838050)
中本 大  立命館大学, 文学部, 教授 (70273555)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2027-03-31
キーワード画題 / 画論 / 狩野派 / 帝鑑図 / 物語絵 / 源氏物語 / 奈良絵本 / 英一蝶
研究実績の概要

本年度は中世日本における和漢の画題の生成と受容に焦点を絞り、狩野派による画論を合わせ見ながら、そこに内包される文学性や思想的背景、近世への展開を主要な課題として検討を進めた。
漢画題については、中国皇帝の故事を素材として多種多様な伝本が残る「帝鑑図」研究が上梓された(小助川)。狩野派による屏風の作例から慶長以降の版本に及ぶ重厚な諸本研究、故事和訳の具体相の検討、さらには『後素集』など画論の言説に照らして、中世日本における勧戒画の生成享受が明視されている。また、画題「扇市」が中世日本の禅林における陸游詩の受容と不可分に結びついていた現象も指摘された(中本)。
他方、『源氏物語』を水脈とする表象の分析も進められた。毛利博物館蔵「源氏物語絵巻」とメトロポリタン美術館蔵「源氏物語絵巻」の比較検証から、中世以降の「源氏絵」の図様・様式の継承と17世紀における共有状況が明らかとなり(龍澤)、『あま物語』『ちごいま』等の室町物語に映る「明石の上」の面影も浮き彫りとなった(齋藤)。さらに、制作実態がいまだ解明されていない17世紀の奈良絵本や大型絵巻について、龍光院蔵「承久記絵巻」、徳川美術館蔵「文正草子」ほか、複数の絵巻が同一工房作であることが判明した(龍澤)。国文学研究資料館蔵『大黒舞』や成蹊大学蔵『竹取物語』、コロンビア大学蔵『浦島』等々もこれらと同一工房作と思しく(齋藤)、17世紀物語絵の制作環境の一端が明らかになってきた。
加えて、狩野宗家に学び、高い画技と教養の上に画題の新たな展開を担った英一蝶の研究を深め、サントリー美術館の特別展企画に協力して、一蝶の現存全句の注釈と、絵画との関係を検証した成果を公刊した(井田)。
なお、上記の研究に結ぶものとして、ニューヨーク公共図書館スペンサー・コレクションと海の見える杜美術館の調査を実施しており、現在、その作品分析を進めている。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題にとって重要な研究対象となる絵巻や絵入り本は、海外の諸機関に所蔵されている場合が少なくないが、調査の実施に際しては渡航費の高騰の影響を受けている。そのため、少人数の調査チームを組んでニューヨーク公共図書館等に赴き、所蔵作品の調査情報を共有することで、効率的な研究資源の獲得と、多様な観点からの分析を進めた。その上で、各自の本課題において分担するテーマを軸として、それぞれに学会誌や学術書等への論文執筆、解題執筆、資料紹介、学会発表、美術館における特別展企画への協力と図録執筆、共編著の出版企画などに取り組み、多様な成果発信を達成した。

今後の研究の推進方策

2024年度に得られた研究成果と調査データを踏まえ、2025年度は6月に第1回のオンライン研究会を企画しており、以後も年3回程度の研究会を開催予定である。各回、それぞれに調査研究の成果や課題を報告し、研究展望についても討議する。
作品調査については、国内は海の見える杜美術館(広島)等、在外資料は大英図書館等の調査を計画中である。前者は昨年度からの継続が可能であり、後者との交渉にもすでに着手していることから、スムーズな実施が期待できる。その過程で新たに注目すべき資料が発見された場合は、随時、調査計画を立てる。研究成果は引き続き、それぞれに学会誌等への投稿、学術書への寄稿、学会発表等によって公表してゆく。

次年度使用額が生じた理由

本研究にとって重要な研究対象である絵巻・絵入り本を所蔵する大英図書館(英国)、コロンビア大学図書館(アメリカ合衆国)等の調査を計画したが、施設修復等の事情により日程調整が叶わず、次年度使用額が生じた。すでに交渉には着手しており、本年度の研究計画にこれらの調査を盛り込むこととした。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2025 2024

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 岩崎文庫貴重書書誌解題112025

    • 著者名/発表者名
      深沢眞二、藤原英城、齋藤真麻理、大谷俊太、宮崎修多、辻本裕成、和田恭幸
    • 雑誌名

      岩崎文庫貴重書書誌解題

      巻: 11 ページ: 1-190

  • [雑誌論文] 「承久記絵巻」の制作環境について―十七世紀物語絵工房に関する試論―2025

    • 著者名/発表者名
      龍澤彩
    • 雑誌名

      軍記と語り物

      巻: 61 ページ: 43-57

  • [雑誌論文] 石川透『奈良絵本・絵巻: 中世末から近世前期の文華』(書評)2024

    • 著者名/発表者名
      齋藤真麻理
    • 雑誌名

      説話文学研究

      巻: 59 ページ: 172-175

  • [雑誌論文] 暁雲の俳諧、一蝶の詩嚢2024

    • 著者名/発表者名
      井田太郎
    • 雑誌名

      没後三〇〇年記念 英一蝶 ―風流才子、浮き世を写す(サントリー美術館図録)

      巻: ー ページ: 194-202

  • [学会発表] 天台談義所の学芸と説話2024

    • 著者名/発表者名
      齋藤真麻理
    • 学会等名
      日本仏教綜合研究学会2024年度例会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 「承久記絵巻」の制作環境について―十七世紀物語絵工房に関する試論―2024

    • 著者名/発表者名
      龍澤彩
    • 学会等名
      軍記・語り物研究会大会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 小助川元太2024

    • 著者名/発表者名
      寛永版『帝鑑図説』に見る『帝鑑図説』和訳の方法
    • 学会等名
      古典研究会
  • [図書] 『源氏物語』創成と記憶:平安から江戸まで2024

    • 著者名/発表者名
      渡邉裕美子、田渕句美子、小川 剛生、松薗 斉、齋藤真麻理ほか
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      花鳥社(渡邉裕美子、田渕句美子編)
    • ISBN
      9784868030140
  • [図書] 説話文学研究の海図:説話文学会六〇周年記念論集2024

    • 著者名/発表者名
      佐伯真一、荒木浩、張龍妹、石川透、齋藤真麻理ほか
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      文学通信(説話文学会編)
    • ISBN
      9784867660560
  • [図書] 源氏絵研究の最前線2024

    • 著者名/発表者名
      稲本万里子、龍澤彩ほか
    • 総ページ数
      354
    • 出版者
      勉誠社
    • ISBN
      9784585370161
  • [図書] 帝鑑図と帝鑑図説―日本における勧戒画の受容―2024

    • 著者名/発表者名
      小助川元太、薬師寺君子、野田麻美、水野裕史ほか
    • 総ページ数
      450
    • 出版者
      勉誠社(小助川元太、薬師寺君子、野田麻美、水野裕史編)
    • ISBN
      9784585370178
  • [図書] 日本古典文学の言葉と思想2024

    • 著者名/発表者名
      中西健治、西本寮子、中本大ほか
    • 総ページ数
      586
    • 出版者
      武蔵野書院(中西健治先生喜寿記念論集編集委員会編)
    • ISBN
      9784838607952

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公開日: 2025-12-26  

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