研究実績の概要 |
幼児の語彙獲得機構を解明するため,機械学習を用いたモデル化を行った.このモデルでは,母子間の相互行為や心理学的要因についてTomasello の「幼児が持つ認知的スキルである『共同注視』,『意図の理解』などの母子間の相互行為によって語彙獲得における語の意味の可能性に制限が与えられる」という主張に従い, 深層強化学習を用いて事前知識のない状態から語彙を獲得する. この研究では,従来の恣意的な特徴量ではなく, Martin らの研究から判明した49 次元の特徴量を用い, 幼児の持つ内発的な好奇心についてNGUを基にした内部報酬を設計し, 母子の相互作用を組み合わせた語彙獲得を行った. この結果,従来の幼児の幼児語彙獲得モデルでは探索が困難な少ない情報量の特徴量空間上でも好奇心による探索を行い, 語彙獲得に成功した. また, 物体を同定する特徴量の選択が,学習するにつれて木構造として最適な形になっていき, 語彙獲得を通して幼児自身が自律的に制約を獲得する仕組みを再現することができた.この成果を,Architectures and Mechanisms for Language Processing2023国際会議において発表を行った.またデータ収集に関しては次の活動を行った.翌年からの幼児の語彙データの収集に向けた予備調査として,調布市子ども家庭支援センター すこやかにおいて,12月から0歳6カ月~3歳8カ月のお子さん12人の語彙データを収集した.このデータを用いて,簡易語彙テストの評価を行い,簡易語彙テストの妥当性を検証した.また,2才の年齢を対象として.500名のデータを収集した.
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