研究課題/領域番号 |
23H00717
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
藤澤 明 帝京大学, 付置研究所, 准教授 (70720960)
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研究分担者 |
金井 拓人 帝京大学, 付置研究所, 講師 (60779081)
山内 和也 帝京大学, 付置研究所, 教授 (70370997)
有村 誠 東海大学, 文学部, 教授 (90450212)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 中央ユーラシア / 銅合金 / 金属生産 / 鉛同位体比 |
研究実績の概要 |
ジョージアにおいては、予定通り2024年3月に現地調査を行い、インゴットおよび銅鉱石の調査を行った。インゴットについては現地にて蛍光X線分析計により元素分析を行い、主に純度の高い銅であることが判明した。また微量試料のサンプリングを行い、鉱石とともに本国へ持ち帰ることが出来た。微量試料については鉛同位体比測定を進めている。鉱石については研究分担者の金井氏が分析を行っている。本調査によって、鉱石―インゴット-製品の鉛同位体比を比較することが可能となり、それぞれの流通範囲を明らかにすることが出来る。 イランにおいては2024年2月にイラン北東部のゴルガーンにおいて後期青銅器時代の資料の調査を行った。その結果、器種ごとの合金の使い分けや金属鑞を用いた接合を明らかにした。本地域では基本的に錫の含有量が少ない銅合金を利用しているが、一部の利器については錫量が多く、合理的な合金設計が行われている。これは成熟した金属加工技術を示している。 中央アジアにおいては2023年8月にキルギスに渡航し、銅滓、銅滴、坩堝などの銅生産関連遺物を中心に調査を行った。元素分析の結果、製品製作段階の銅滓や銅滴が多く含まれていることが明らかになった。これらから微量試料をサンプリングし、材料産地推定のための鉛同位体比測定を進めている。これにより、鉱石の移動範囲や当該遺跡で生産されていた製品の種類を同定することが可能となる。 以上の調査を通し、製品だけでなく金属生産加工の全体像を明らかにすることを目的に研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に実施することが出来た。ジョージア、イラン、キルギスでの現地調査は予定通り行われた。当初予定していたウズベキスタンでの現地調査は行わず、現地から持ち帰った微量試料の鉛同位体比測定を進めた。また対象とする資料であるが、ジョージアおよびキルギスでは予定通り資料へアクセスでき、また微量試料のサンプリングを行うことが出来た。イランではイラン国内での移動の制約により、北西地域には行くことが出来なかった。また昨今の政情不安により、外国人研究者の活動が制限されており、今後もより厳しくなる可能性があるが2024年度に再度計画している。
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今後の研究の推進方策 |
ジョージアでは2023年度調査において西部に大規模な生産遺跡が見つかっていることが明らかとなった。2024年度は西ジョージアにおいて銅生産関連遺物の調査を行う予定である。またインゴットの多くは表採されており明確な年代が不明である。今後、同時に出土した有機物を調査し、放射性炭素年代測定を行う必要がある。 中央アジアでは、引き続き銅生産関連遺物および鉱山の調査を行う。これまでの鉛同位体比による材料産地推定の結果、古代に利用されていた鉱山の候補が絞られてきた。山岳地や国境に近いなど調査が困難な場所も多いが、現地研究者の協力の下、状況も含めて調査を行う予定である。 イランについてはイスラエルとの国際問題により、2024年4月14日に外務省より渡航中止勧告(レベル3)が発令されている(2024年5月1日現在)。これが解除されない限りは渡航することが不可能である。渡航可能となった場合には、カスピ海の西南部の調査を行う予定である。
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