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2023 年度 実績報告書

実験とビックデータ分析による不平等是正行動の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23H00802
配分区分補助金
研究機関早稲田大学

研究代表者

清水 和巳  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20308133)

研究分担者 上條 良夫  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40453972)
大薗 博記  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (50709467)
井上 彰  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80535097)
後藤 晶  明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (80707886)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード所得格差 / 運と実力 / オンライン実験 / ラボ実験 / 実験経済学
研究実績の概要

本研究の目的は,不平等の拡大・縮小(ダイナミクス)を,不平等が生じた原因(運か実力かに注目しつつ,実験的なアプローチ(ラボ実験,オンライン実験)によって実証的に研究し,そこで得られた知見をビッグデータによって検証することにある.
われわれは,現在の資産状況が「実力」よりも「運」によって決定されている場合に,人々は不平等 を是正する行動をより選択するのではないかと予想している.この予想の下,「運」と「実力」という条件が所得格差是正に与える影響を研究計画1,2で検討する.この計画に乗っ取り,2023年度は 「研究1:2者間における不平等の拡大・縮小」(「実力」条件と「運」条件が不平等の拡大・縮小(ダイナミクス)に与える影響を,二者間かつワンショットという静的な環境において検討し,その因果関係を明確にすることを目的とする)をO-tree上で実行し,研究2での,多人数ネットワークでかつ,資源交換ステージを繰り返しゲームにした動的な環境上での実験実行を準備した.実験2に関してプレ実験は終了できた.
「運」によって得られた資源は「実力」によって得られた資源よりも利他的な資源再配に費やされるという知見を,みずほ銀行ビックデータにより検証すべく,RAを一人雇用しビックデータ分析に取り組んだ.上記のデータから,遺産(運による所得)・給料(実力による所得)と寄付額との相関関係の強弱を分析できるめどが立ってきた.
研究成果は一件,査読つき英文雑誌に投稿中であり,国内学会での発表も行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

・われわれは,現在の資産状況が「実力」よりも「運」によって決定されている場合に,人々は不平等 を是正する行動をより選択するのではないかと予想している.この予想の下,「運」と「実力」という条件が所得格差是正に与える影響を研究計画1,2で検討する. この計画に乗っ取り,2023年度は 「研究1:2者間における不平等の拡大・縮小」(「実力」条件と「運」条件が不平等の拡大・縮小(ダイナミクス)に与える影響を,二者間かつワンショットという静的な環境において検討し,その因果関係を明確にすることを目的とする)をO-tree上で実行し,研究2での,多人数ネットワークでかつ,資源交換ステージを繰り返しゲームにした動的な環境上での実験実行を準備した.実験2に関してプレ実験は終了できた.
・「運」によって得られた資源は「実力」によって得られた資源よりも利他的な資源再配分に費やされるという知見を,みずほ銀行ビックデータにより検証すべく,RAを一人雇用しビックデータ分析に取り組んだ.上記のデータから,遺産(運による所得)・給料(実力による所得)と寄付額との相関関係の強弱を分析できるめどが立ってきた.

今後の研究の推進方策

昨年度の研究実績を踏まえた上で,今年度も次の二つ方向で研究を推進する.
1)多人数ネットワークでかつ,資源交換ステージを繰り返しゲームにした動的な環境上で実験を実行し,不平等のダイナミクスを検討する.この場合も,「実力」よりも「運」条件のほうが,富者と貧者間のネットワーク形成が進み(言い換えると,富者と貧者のクラスターが形成されにくく),両者間での資源交換もより活発になり,不平等の是正が進むと予想する.また,このネットワークの人数を固定するだけではなく,ネットワークへの出入りを自由にすることで,より生態学的妥当性の高い実験環境において,「実力・運」条件が不平等の拡大・縮小(ダイナミクス)に与える効果を検討することができる.
2)引き続き,みずほ銀行ビックデータ分析により,遺産(運による所得)・給料(実力による所得)と寄付額との相関関係の強弱を分析する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Reflective equilibrium in practice and model selection: a methodological proposal from a survey experiment on the theories of distributive justice,2024

    • 著者名/発表者名
      Akira Inoue, Kazumi Shimizu, Daisuke Udagawa, and Yoshiki Wakamatsu
    • 雑誌名

      Synthese

      巻: 203 ページ: -

    • DOI

      10.1007/s11229-024-04544-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The moderating role of reflective thinking on personal factors affecting belief in conspiracy theories.2024

    • 著者名/発表者名
      Ozono, H., & Sakakibara, R
    • 雑誌名

      Applied Cognitive Psychology,

      巻: 38 ページ: -

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] A note on the risk dominance of the Nash demand game2023

    • 著者名/発表者名
      Kamijo, Y.
    • 雑誌名

      Int J Game Theory

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00182-023-00872-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Fixation of inequality and the emergence of the equal split norm: Approach from behavioral bargaining theory2023

    • 著者名/発表者名
      上條良夫
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 圧政/善政を分ける条件:Kingdom Gameによる検討2023

    • 著者名/発表者名
      大薗博記
    • 学会等名
      実験社会科学カンファレンス
  • [学会発表] クラウドソーシング実験の現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 学会等名
      実験社会科学カンファレンス

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公開日: 2024-12-25  

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