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2023 年度 実績報告書

東京圏における賃貸住宅の市場滞留期間に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23H00810
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

浅見 泰司  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10192949)

研究分担者 西 颯人  一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 特任助教 (10962235)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード不動産価格 / 中心駅 / 駅価値 / 非線形性 / 地理的加重回帰分析 / 確率的勾配 / スケーラブル / 東京
研究実績の概要

不動産価格の分析において、中心エリアへのアクセス性は基礎的な要素であり、東京では鉄道が最も重要な公共交通機関となっている。このため、多くの研究者が中心駅までの距離をヘドニック回帰分析のコントロール変数として採用している。しかし、どの駅が適切な中心駅であるかは自明ではない。そこでこの問題を解消するために、距離と価格の関係の非線形性を捉えた、よりよい中心駅を選ぶためのアプローチを提案した。提案手法を用いたデータ分析の結果、東京23区の居住用土地市場の単価を回帰する場合には、渋谷駅を中心駅とすることが示唆された(西・浅見, 2023)。
GWR(地理的加重回帰分析)は空間依存性があるデータ分析で広く受け入れられている回帰手法である。GWRのキャリブレーションは計算量が多いため、キャリブレーションのための効率的な方法がいくつか提案されている。しかし、これらの方法は、大規模な計算環境を必要としたり、カーネル関数のクラスが限定されたりしており、GWRの適用範囲を制限している。本論文では、確率的勾配に基づくGWRの最適化手法であるsgGWR(確率的勾配GWR)を提案した。sgGWRでは,クロスバリデーション誤差を確率的に近似し、勾配に基づく最適化手法を適用する。sgGWRは既存のスケーラブルな手法よりも幅広い種類のカーネルを扱うことができ、高性能な計算機が利用できない場合でもその恩恵を受けることができる。したがって、sgGWRは既存のスケーラブルな手法ではカバーできない問題点を解決できる。シミュレーションにより、sgGWRと既存の手法の性能を検証した。さらに、sgGWRを東京の地価分析に適用した。その結果、時空間版GWRが最も予測性能が高く、回帰係数の時空間的不均一性を捉えることができた(Nishi, Asami, 2024)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

査読論文や著書を出版し、研究成果を順調に発表できているため。

今後の研究の推進方策

西・浅見(2023)の研究では、中心地と物件最寄り駅との間の距離は物理距離を扱っていたが、既存研究では時間距離も多く使われているため、どのような距離概念が適切と言えるのかの分析を行う。
首都圏の不動産取引データに対して、改良したアルゴリズムを適用して、NAS市場分割を行う。この際に、適切なサブマーケット群を抽出するために、パラメータ調整などを行う必要がある。その上で、該当物件が少ないサブマーケットは排除して、以後の分析に適したサブマーケット群の抽出を行う。この際に、Nishi, Asami, Shimizu (2019)が明らかにした賃貸住宅における住宅特性値が欠落することによる分析バイアスや、Suzuki, Asami, Shimizu (2021)が明らかにした継続家賃が変更しにくいことによる新規家賃のバイアスにも配慮する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Stochastic gradient geographical weighted regression (sgGWR): scalable bandwidth optimization for geographically weighted regression2024

    • 著者名/発表者名
      Hayato Nishi, Yasushi Asami
    • 雑誌名

      International Journal of Geographical Information Science

      巻: 38(2) ページ: 354-380

    • DOI

      10.1080/13658816.2023.2285471

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 観光都市へのシェアサイクル導入が観光客の立ち寄り施設数と滞在時間に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      福島渓太, 薄井宏行, 浅見泰司, 貞広幸雄
    • 雑誌名

      都市計画論文集

      巻: 58(2) ページ: 143-152

    • DOI

      10.11361/journalcpij.58.143

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 東京23区の土地取引価格の中心駅:ヘドニック分析における中心駅の選択2023

    • 著者名/発表者名
      西颯人, 浅見泰司
    • 雑誌名

      都市計画論文集

      巻: 58(3) ページ: 501-507

    • DOI

      10.11361/journalcpij.58.501

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] Studies in Housing and Urban Analysis in Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Asami, Yukio Sadahiro, Ikuho Yamada, Kimihiro Hino (eds.)
    • 総ページ数
      299
    • 出版者
      Springer Nature
    • ISBN
      978-981-99-8026-0

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公開日: 2024-12-25  

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