研究課題/領域番号 |
23H00882
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
黒須 里美 麗澤大学, 国際学部, 教授 (20225296)
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研究分担者 |
津谷 典子 慶應義塾大学, 大学共通, 教授 (50217379)
高橋 美由紀 立正大学, 経済学部, 教授 (50361845)
川口 洋 帝塚山大学, 文学部, 教授 (80224749)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 歴史人口学 / 移動 / 死亡 / 再生産 / パネルデータ / ライフコース / 東北地域 |
研究実績の概要 |
近世日本における社会的不平等(個人・世帯・地域格差)が移動(結婚・労働・引越)・健康(生存・寿命)・人口再生産(出生力・出生行動)に与えた影響を探るという目的のために、本年度は特に以下の3点を中心に進めた。 1 移動と出生・死亡の分析: 現在の福島県中通りに位置する4町村 (1708-1870 年)の人別改帳から構築された多世代パネルデータを用い、地域・世帯・個人レベルを加味したイベントヒストリー分析を行った。村と町場の系統的比較とともに、NativeとMigrantsの死亡・出生・移動イベント生起の規定要因を比較した。これらの成果を日本人口学会、European Society of Historical Demography, Social Science History Associationで報告した。また、多世代パネルデータと地理的移動情報の地図による可視化を進め、近世東北の移動パターンについての考察を査読付き英文学術雑誌および書籍としてまとめるべく準備を進めた。 2 東北地域の地域情報の拡充:陸奥国守山藩御用留帳から天候に関する情報を抽出し、解読とデータ作成を行った。このほか福島県で発見された豊凶や穀類価格などの地域経済変動を示す新たな指標の一部の数量化・デジタル化を試みた。 3 他地域・階層との比較: ①上記4町村以外の地域について、麗澤大学人口・家族史研究プロジェクト室(PFHP)所蔵の東北・中央・西南日本データのチェックとデータベース構築を進めるとともに、郡山周辺農村の新たな入力をスタートした。②武士階層との比較としてデジタル化した『寛政重修諸家譜』の一部をベースに分析内容とその方法の検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東北地域の宗門人別改帳を解読した資料からのデータ入力や、天候に関する資料の解読と入力、また他地域の人口データベースの構築は予定通りに進んでいる。郡山周辺の4町村の移動と出生・死亡に関する成果発表も計画通りである。今後、これらの口頭発表を国際的評価のある学術雑誌に出版できるように進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
近世日本における社会的不平等が移動(結婚・労働・引越)・健康(生存・寿命)・人口再生産(出生力・出生行動)に与えた影響を探る目的のために、当初の計画通り、以下の3点を中心に進める。 (A)江戸時代後期東北地方4町村約2万8千人の多世代パネルデータを用いて、社会的不平等がライフコースに与えた影響、さらに(B)この3つの社会人口学的事象間の関係 を個人・世帯・地域レベルから多層的な分析を継続発展させる。この際に飢饉や藩の政策など、質的な情報を充実させるとともに、それらをいかに有効に活用するかを検討する。また、(C) (A)(B)について、同時代の日本の他地域の町村及び武士階層、東アジアや西欧社会との比較分析を目指し、次年度は更にデータ入力とデータベース構築を継続し、後半で分析を目指す。これらの成果を人口学会やWorld Economic History Association、Social Science History Associationなどで発表するとともに、査読付き国際学術雑誌への投稿を目指す。
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