研究課題/領域番号 |
23H00896
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平野 裕子 (小原裕子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (50294989)
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研究分担者 |
野田 由佳里 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (20516512)
松尾 萌美 西九州大学, リハビリテーション学部, 講師 (20909064)
天野 ゆかり 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (60469484)
比留間 洋一 静岡大学, 国際連携推進機構, 特任准教授 (30388219)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 食事介助 / 介護技術研修プログラム / インドネシア / 技能実習生 / 技術移転 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】本研究は渡日インドネシア人介護技能実習生(介護技能実習生)以下を対象に、食事介助研修プログラムを開発し、その評価を行う。2023年度は、研究1(来日前の介護技能実習生の食事介助に関する知識や理解度を把握し、理解度が低い、あるいは誤解をしている点を改善するための研修プログラムならびに介入研究用の尺度を作る計画を立てた。 2023年度は、渡日介護技能実習生のインドネシアにおける研修施設を訪問し、渡日前研修状況を参与観察した。また調査可能性について打診し、打診した3施設ともに調査協力の快諾を得た。 【研究実施方法】研究対象者(3施設の渡日前介護技能実習生計116名)に対して日本での食事介助の様子の動画を3回繰り返して見せ、要介護者の心身の健康に対する知識・理解度および意見、介護者の介助の仕方に関する知識・理解および意見をオンライン調査票で自由記述してもらった。併せて、Leopold et al.(1983)の五期モデルに基づき研究代表者らが作成した食事介助知識度尺度(Hirano et al., 2018)を用い、食事介助への理解度を数量化した。 【研究結果】食事介助理解度尺度の得点は、介護技能実習生の学歴、研修受講期間、性別には有意な差が見られなかったが、研修機関間では有意な差がみられた(p=.003)。 なお、動画の内容に関する意見についての具体的な記述内容には、日本において一般的に行われている介護介入に対する批判的な評価も一部見られ、それは解剖学的生理学的観点の誤解に基づくもののほか、文化的な観点(日本とは異なる、インドネシアにおける食習慣や高齢者に対するケアの在り方)なものも含まれていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年6月の参与観察に基づき、当初の研究枠組みを一部変更し、計4グループでの比較を行うこととした。これは介護技能実習生の研修機関の経営上の特徴(介護技能実習生を専門に送りだす機関か否か)よりも、介護教育者が日本で介護した経験があるかどうか、また介護技能実習生自身の学歴が影響するのではないかと考えられたからである。そこで、介護教育者の特徴毎に4グループに分けてデータを取り、分析を行った。この4グループ間で食事介助知識度に統計的に有意な差がみられたことから、その仮説の一部は数量的には実証されたといえる。ただし、その解釈については、まだ検討の余地があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず自由記述の分析を行いたい。自由記述は、質的分析手法をとっており、食事介助知識度の統計的な関連を裏打ちすることが期待されるからである。その結果をもとに、インドネシアにおける食、老い、ケアの概念と日本のそれとがどのように異なるのかを踏まえつつ、食事介助研修プログラムを開発する予定である。今回の食事介助研修プログラムは、研究代表者らが過去に作成したものを基盤に作られる。インドネシア側研究協力者との密な協力が必要となる。
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