研究課題/領域番号 |
23H00983
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
片桐 正敏 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00549503)
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研究分担者 |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
池田 千紗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90580051)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 知的能力 / 感覚処理 / 運動能力 / バーチャルリアリティ / 発達障害 |
研究実績の概要 |
本研究では,高い知能を有する人の示す社会適応上の問題や情動制御の困難さの背景にある,「過度激動」を含む感覚処理の特異性を,発達障害の特性との違いなども含め実験等で明らかにし,バーチャルリアリティ(VR)を用いた新たな支援法について提案することで,子どもたちへの具体的かつ効果的な介入方法を検討することを目的とする。 本研究のゴールは,高い知能を有する人の運動や感覚処理の特異性を明らかにし,その活用法と対処可能な支援法を検討することにある。特に,教育現場におけるVRを用いた新たな支援法について提案することで,社会性や運動,感覚処理面での困難さを抱える子どもたちへの具体的かつ効果的な介入方法を繋げる。 今年度は,捕球が苦手な人への介入について,バーチャルリアリティ技術を用いて検討を行なった。本研究では,18~22歳の17名(男性1名,女性16名)を捕球成績が同程度になるように2グループ(VRを使用した捕球練習と実際のボールを使用した捕球練習を並行して行う介入群と,実際のボールを使用した捕球練習のみの統制群)を設定した。統制群に対しては,実際のボールを使用した捕球練習を60回行った。その結果,介入前よりも介入群の平均得点が9.62点増加した。捕球評価によって得られた点数を分析したところ,介入の主効果が認められた。この結果は,VRによる捕球トレーニングが,実際のボールを使用した実環境での練習と同程度の効果があること,VRを用いたトレーニングが主観的な運動達成感を得られやすい可能性があり,ボールに対する恐怖感を感じさせないため,身体的な不器用さがみられる人にも適している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は,VRを用いた新たな支援法について,成人ではあるが実験データの収集ができた。その他,知的能力の高い人への調査研究についても並行して進めている。得られたデータについては次年度,国際学会の発表も含めて積極的に発信し,高い知能を有する人たちへの実験準備などを進める。次年度は,VRを用いた多感覚統合の実験を行うことで,特異性を明らかにし,VRを用いた支援法の端緒としてパイロットスタディも含めた研究を始める予定である。 次年度以降は,多感覚統合の実験および,感覚運動支援法の検討を行ない,脳活動計測なども取り入れつつ,客観的指標から感覚処理特性との関係性に迫る。
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今後の研究の推進方策 |
現在倫理申請が受理され,調査段階へと移行している。進行中の調査結果のデータ分析を行ないつつ,高い知能を有する人たちの感覚処理特性と実行機能・発達障害特性との関係を実験などを通して検討を進める。
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