研究実績の概要 |
2023年度はまずFano多様体の非自由な曲線の構造定理及び有界性を証明した論文をBrian Lehmann及びEric Riedlと書き上げた. この論文で非自由な曲線のみをパラーメータライズするモジュライ空間について, パラメータライズする曲線たちが集積写像に起因することを示した. さらにそれらの集積写像が有界族になるよう取れることも証明した. 証明は構造定理の方は葉層構造や層の安定性を利用したものになっており, 有界性の方はBirkarのBAB予想関連の結果を利用した. プレプリントをarXivにアップロードし, 学術雑誌に投稿した. その結果Osaka Journal of Mathematicsに掲載受理となっている. 次にfixed domain Gromov Witten不変量の数え上げ性に関する論文をRoya Beheshti, Brian Lehmann, Carl Lian, Eric Riedl及びJason Starrと書き上げた. 一般にFano多様体はfixed domain Gromov Witten不変量に関する漸近数え上げ性を満たすと期待されていたが, その予想に対する反例をいくつか構成して, さらに3次元Fano多様体やFano超曲面などで漸近数え上げ性がいつ満たされるかを議論した. 論文をarXivにアップロード, さらに学術雑誌に投稿した. 次にTudor Ciurca及びYuri Tschinkelと中間Jacobianを同変双有理幾何学に応用する論文を書き上げた. 同変中間Jacobian及びそのトーサーが同変双有理性に対する不変量になっていることを証明した. さらにこれを用いて射影直線上の2次曲面束, 射影平面上のコニック束及び3次元Fano多様体の同変有理性を議論した. 論文をarXivにアップロードし, 学術雑誌に投稿した. 最後にDylon Chow, Daniel Loughran, Ramin Takloo-Bighashとワンダフルコンパクト化上のCampana点のManin予想を証明した論文を書き上げた. この論文ではCampana点のManin予想のleading constantの予想を定式化できた. 論文をarXivにアップロードし学術雑誌に投稿した.
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