研究課題/領域番号 |
23H01074
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 竜司 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (30252571)
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研究分担者 |
石田 政司 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (50349023)
大川 新之介 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60646909)
満渕 俊樹 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80116102)
糟谷 久矢 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80712611)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 一般化された複素多様体 / 一般化されたケーラー多様体 / ポアソン構造 / 一般化されたリッチフロー / 一般化されたスカラー曲率 / モーメント写像 / 小林・ヒッチン対応 / 一般化された正則ベクトル束 |
研究実績の概要 |
これまでの研究代表者の研究により、シンプレクティック型の一般化されたケーラー多様体においてベクトル束に関する Kobayashi-Hitchin 対応は確立した。今後はシンプレクティック型の一般化されたケーラー多様体における Yau-Tian-Donaldson 予想の研究を進めていく。既に、研究代表者はモーメント・マップの視 点からスカラー曲率の概念を確立しており、このことから、一般化されケーラー多様体において、二木不変量、満渕汎関数の定式化、構成が自然に導かれる。通常のケーラー多様体においては、コホモロジークラスを固定して得られるケーラー計量全体の空間は可縮となるのであるが、一般化されたケーラー多様体におい ては、対応する一般化されたケーラー計量全体の空間が”曲がっている”。そのため、この空間が連結であるか、そして単連結であるかが問題となっている。ま た、一般化されたケーラー多様体においてドナルドソン・二木不変量の代数的、あるいは位相的記述も重要な問題となる。 今年度においては、シンプレクティック型とは限らない一般化されたケー ラー多様体のスカラー曲率の研究をさらに推進し、また一般化された接触構造及び一般化された佐々木構造の研究を進めた。これらの成果は2023年4月にStony Brook University, Simons center で開催された研究集会 Supergravity, Generalized Geometry and Ricci Flow にて発表した。藤木・ドナルドソンによるスカ ラー曲率を モーメントマップとして捉える「moment map picture」を研究代表者はシンプレクティック型とは限らない一般化されたケーラー多様体にも拡張していく研究の中で、ある種の障害類があることを発見した。この障害類の研究をさらに進めることにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究成果として、次の論文が出版されることとなった。 R. Goto, The Kobayashi-Hitchin Correspondence of Generalized Holomorphic Vector Bundles Over Generalized Kahler Manifolds of Symplectic Type, International Mathematics Research Notices, Volume 2024, Issue 2, January 2024, Pages 1496-8211;1567, https://doi.org/10.1093/imrn/rnad038
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、一般化されたケーラー多様体でのモーメント写像の枠組みの研究をさらに進めた。筆者が定義した「一般化されたスカラー曲率」がStreets, Apostolov などにより、詳細に調べられ、具体的な記述が与えられている。その記述は不思議なことに、理論物理での超弦理論のeffective作用との関係を示しており、Bismut による複素多様体上の index 定理にも表れており、また、Bakry-Emery Ricci tensor とも関連した形をしている。さらに研究を進めると、「一般化された scalar curvature 」がモーメント写像として捉えられるための障害類が存在することが分かった。今後はその障害類の研究を進めていく。この研究はこれまでにない新たな進展を見せてくれるの では、と期待している。generalized geometry の研究は世界的に広がりを見せており、世界各地で、様々な、研究の立場からのアプローチが行われ、 generalized geometry をテーマにした研究集会が開催されるようになっている。今後も柔軟に研究テーマを広げていくことにする。
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