研究課題
本研究では、時間多重光量子コンピュータを万能・大規模化する、新しい機能の量子光源を提案・実証する。近年、光の時間多重方式、つまり多数の光パルスを時間的に一列に並べて処理する方式で光量子コンピュータが劇的にスケールアップした。一方、この方式ではこれまで1種類の光だけを出し続ける固定光源を用いるのが「常識」であり、このため可能な計算の種類が著しく限定されていた。本研究ではこの「常識」を破り、様々な種類の光を時系列的に出力できるプログラマブル・時間多重量子光源を独自に提案し、原理実証することを目的とする。上記の目的のため、2023年度は導波路型非線形光学結晶と、そこに入射するポンプ光を音響光学素子によって強度変調できるよう設計した新しい光学システムを開発した。さらに、超伝導光子検出器を組み合わせ、光子検出による条件付けによって確率的に非古典性の強い量子状態(非ガウス型状態)の光も生成できるように設計した。このシステムにおいて、ポンプ光強度や光子検出器による条件付けの有無などの設定を変更することで、スクイーズド状態や単一光子状態など複数種類の量子光を出力することに成功した。スクイーズド状態については、時系列的にそのスクイージングパラメータや位相を切り替えながら出力できることも確かめている。以上の成果について、9月および3月の日本物理学会にて報告した。今後、さらに機能を追加し、プログラマブルな光源を実現する必要がある。
1: 当初の計画以上に進展している
既に、スクイーズド光や単一光子状態の生成など、複数種類の光の量子状態を生成する機能が実現できているため。
今後、さらに開発を進めて様々な量子状態の光を生成可能にすると共に、望みの量子光(非ガウス型状態)を高品質・高レートで生成するための最適な実験パラメータを明らかにしていく。
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