研究課題/領域番号 |
23H01119
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 高裕 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00631780)
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研究分担者 |
北村 想太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40848553)
奥村 駿 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90906695)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | シフト電流 / 非摂動伝導 / トポロジカル磁性体 |
研究実績の概要 |
非線形光学効果については、二周期外場によるディラック電子系における光電流生成について解析を行った。二周期外場は2つの異なる周期をもつ電場を重ね合わせることで得られ、2つの周期の比に応じて特徴的な回転対称性をもつ電場パターンを示す。私たちは二周期外場の電場パターンを利用して物質中電子の空間対称性を実効的に制御することで、これまで光電流発生があまり議論されてこなかった反転対称な物質においても、光電流駆動が可能なことを示した。特に、ディラック電子系においてはそのギャップレス性から低周波領域において大きな二周期外場による光電流発生が可能であることを明らかにした。 非摂動的な伝導現象については、絶縁体の直流伝導を計算するフレームワークとして、量子マスター方程式を用いた定式化を行った。量子マスター方程式の最も簡便な扱いとして緩和時間近似(もしくは半導体ブロッホ方程式)と呼ばれるものが広く用いられているが、絶縁体の直流伝導現象にこの手法を適用すると非物理的な電流が生じてしまうことを明らかにした。私たちは量子マスター方程式の微視的な取り扱いに基づき、計算量をほとんど変えずにこの問題を解消する緩和項の導入方法を提唱した。 トポロジカル磁性体については、磁気スキルミオンが成す3次元紐状構造に対して、平行方向のスピン偏極電流が引き起こすダイナミクスについて解析・数値計算を行った。そこでは非線形なスピン波励起によってスキルミオンが不安定化し、強磁性へのトポロジカル転移が起きうることを理論的に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光電流発生を中心とした非線形光学効果の解析が順調に進んでいる。トポロジカル磁性体では、磁気スキルミオンなどが示す光起電力や高次高調波発生などの非線形光学応答について解析を進めている。また、外場を摂動論的に取り扱うことができない状況を取り扱うための理論的な方法論の整備が順調に進んでおり、この手法を応用した非相反伝導現象の解析に取り組み始めている。
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今後の研究の推進方策 |
電子的なバンドギャップより下のエネルギースケールであらわれる準粒子励起の非線形光学応答を検討することで、より広い波長帯における光起電力効果の開拓を行っていく。 非摂動的な応答現象については、量子マスター方程式に基づく伝導現象の解析や高次高調波発生の機構の微視的な記述に取り組む。 トポロジカル磁性体については、磁性と結合した電子状態についてより直接的な計算を行うために、実空間・実時間発展による大規模なシミュレーションの計算コードを開発し、ノンバイアスな数値手法に基づいて解き明かす方針である。
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