研究課題/領域番号 |
23H01150
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 光産業創成大学院大学 |
研究代表者 |
森 芳孝 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 准教授 (60440616)
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研究分担者 |
山ノ井 航平 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (30722813)
梶村 好宏 明石工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (20403941)
石井 勝弘 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 教授 (30311517)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高速点火 / 対向照射 / 高速電子 / ワイベル不安定性 |
研究実績の概要 |
本研究では、希薄プラズマから爆縮プラズマに至る幅広い密度領域において、対向照射配位におけるプラズマ中の構造形成とエネルギー緩和の時間発展を計測することで、高速電子流から背景プラズマへのエネルギー緩和過程を明らかにすることを目的とした。レーザーは、繰り返し10HzのTWフェムト秒レーザーとシングルショットkJ級のピコ秒レーザー及びナノ秒レーザーを用いる。 本年度は、(1)フェムト秒レーザーの改修とターゲット供給システムの整備、及び(2)ピコ秒レーザーの片側照射によるレーザーと物質との相互作用の解明を行った。 (1)について、対向照射実験にむけて、レーザー発振器の励起光源を更新及びレーザーパス設計の改修を行い、出力2TW(0.1J/100fs 2beam)の対向照射システムを構築した。さらに、ターゲット供給システムとして、直径50μmのチタンワイヤを連続供給可能なターゲット供給システムを製作し、レーザー照射実験を行った。 (2)について、今年度は片側照射に戻り、高強度レーザーと薄膜との相互作用について、プリパルス制御、ガイディングコーンによるレーザー集光の特性を見極める実験を実施した。実験に際し、電子温度1keV以下の計測分解能を高めるために、新たにチタンドープ重水素化ポリスチレンフィルムを開発し実験に供した。薄膜にレーザーガイディングコーンを装着し, かつプラズマミラーを介して片側照射すると、薄膜中心加熱温度が00.5 keVから7.6 keVに大幅向上し、シミュレーション予測値の8 keVに迫る成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10Hz、出力TWレーザーシステム改修が予定通り進み、対向照射実験の準備が整った。さらに、シングルショットピコ秒レーザー実験において、薄膜にレーザーガイディングコーンを装着し, かつプラズマミラーを介して片側照射するとシミュレーション予測値の8 keVに迫る成果が得られるなど、レーザーと物質の相互作用を解明するために必要なレーザー制御の理解が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
レーザーと物質の相互作用解明に向けて、ピコ秒レーザー実験で得られた加熱温度7.6keVのメカニズムを解明する。温度計測の精度を高めるため、TiとCuをドープした薄膜を新たに整備する。計測器として、X線時間分光ストリークを整備し、高エネルギー密度状態の時間発展をX 線時間分光法 (時間分解能 1 ピコ秒、計測時間 50 ピコ秒)で診断し、状態の時間変化を実験的に抑える。X線時間分光ストリークの計測器開発のために、初年度整備した10HzTWフェムト秒レーザーを活用する。 対向照射については、初年度整備した10HzTWフェムト秒レーザーを活用し、ガスジェット、及びワイヤターゲットを用いた実験に着手する。
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