| 研究課題/領域番号 |
23H01179
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| 配分区分 | 補助金 |
| 研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
堂下 典弘 山形大学, 理学部, 助教 (90451658)
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| 研究分担者 |
鈴木 肇 中部大学, AI数理データサイエンスセンター, 教授 (20260044)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| キーワード | 暗黒物質 / CERN-AMBER / 反陽子生成断面積 |
| 研究実績の概要 |
現在、ダークマター粒子の対消滅により生成される反陽子を宇宙線の成分として調べる研究が進んでいる。国際宇宙ステーションに設置されたAMS-II検出器で観測された一次宇宙線の反陽子フラックスのスペクトラムで予想よりも超過しているエネルギー領域がある。これが、ダークマター由来なのか他の原因なのか?を 調べる必要がある。ダークマター起源ではない反陽子は一次宇宙線と星間物質との相互作用によって生成され、陽子-陽子や陽子-ヘリウム衝突によて生成される。陽子-陽子による反陽子生成断面積の測定は過去に幾つかの実験グループが行ったが、陽子-ヘリウム衝突での反陽子生成に関する測定はほとんどされておらず、データが不十分である。そのため我々CERN-AMBER実験グループでは、2023年度に超流動液体ヘリウム標的と最も興味のあるエネルギー領域に相当する60- 250GeVの陽子ビームを用いて、反陽子生成断面積のデータ収集を行った。 我々は、実験に先駆けて超流動液体ヘリウム標的の準備を行い、CERN-SPSからの二次粒子ビームラインから引き出した60-250GeVの陽子ビームを用いて2ヶ月間かけて反陽子生成散乱弾面積のデータを取得した。その後、 データの系統誤差を評価するために同じ標的長の液体水素標的の製作を開始した。 そして、2024年にその液体水素標的を用いて陽子-陽子散乱での反陽子生成断面積の測定を行う。また、陽子-陽子での反陽子生成と反中性子生成に対する断面積の相違(アイソスピン非対称度)を調べるために、水素の代わりに重水素を液化して陽子-中性子散乱での反陽子生成断面積抽出のための測定も行う。 2023年の実験について2024年3月の日本物理学会で報告を行なった。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
我々のCERNのAMBER実験グループは、宇宙線反陽子スペクトルで興味深い超過が現れたエネルギー領域の理解に適した入射エネルギー(60~250GeV)において、陽子-ヘリウム反応での反陽子生成断面積測定を世界で初めて行うために、日本グループはCERNの低温グループと協力してAMBER実験の前身のCOMPASS実験で使用した偏極標的用の希釈冷凍機を改造して超流動液体ヘリウム標的の準備を行なった。標的物質を収める標的セル部を改造し、超流動ヘリウムリークが起こらないようインジウムシールを施し、冷却テストを行った。それにより、直径7cm、長さ140cmの巨大な液体ヘリウム標的を実現させた。超流動にすることで、液体ヘリウムの標的内での気泡を抑制し、散乱断面積測定に重要なヘリウムの厚みの誤差を極限まで抑えることに成功した。
そしてCERN-SPSからの二次粒子ビームラインから引き出した陽子ビーム(60, 80, 100, 160, 190, 250GeV)を超流動液体ヘリウム標的に入射し、反陽子生成散乱断面積の測定のデータ収集を約2ヶ月間行なった。そして、液体ヘリウムの密度、温度の安定性等の解析を行なった。
陽子-ヘリウム散乱のデータの系統誤差を評価する上で、様々な実験グループで行われている陽子-陽子散乱過程を利用するのは理にかなっている。そのため、液体ヘリウム標的と同じ140cm長の液体水素標的の製作に着手した。COMPASS実験で2017年に使用した2.5m長の液体水素標的システムを改良して製作を進めた。
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| 今後の研究の推進方策 |
2024年では陽子-ヘリウム散乱のデータの系統誤差を評価するために、液体ヘリウム標的と同じ140cm長の液体水素標的を製作し、それを完成させる。COMPASS実験で2017年に使用した2.5m長の液体水素標的システムを改良して製作を進める。改良点は、大きく2つある。1つは、生成反陽子を効率向上のために30cm口径の断熱真空チェンバーを用意する。2つ目は、コントロールシステムの構築である。2017年時と比べて、CERNの安全基準がより厳しくなり、防爆対応のポンプやバルブを導入し、PLCでコントロールするシステムを構築する。これらは、CERNの低温グループ(TE-CRG)と検出器サポートチーム(EP-DT)の協力とともに行う。そして、リークテスト、圧力テストや冷却テストを行い安全を確認した後、陽子-陽子散乱での反陽子生成断面積の測定を行う。 また、陽子-陽子での反陽子生成と反中性子生成に対する断面積の相違(アイソスピン非対称度)を調べるために、水素の代わりに重水素を液化して陽子-中性子散乱での反陽子生成断面積抽出のための測定も行う。これら2つの測定を3ヶ月かけて行う予定である。
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