研究課題/領域番号 |
23H01201
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80212091)
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研究分担者 |
村松 憲仁 東北大学, 電子光理学研究センター, 特任教授 (40397766)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | レーザー電子光ビーム / パルスレーザー / ベクター中間子 |
研究実績の概要 |
レーザー電子光ビームの高強度化のためには、パルスレーザーを使用することで電子ビームと光子の衝突効率を上げることが重要であり、高い周波数での運用が望ましい。更なる高強度化を目指すには、ファンクションジェネレータの性能を向上させ、任意波形の時間を蓄積リング1周の時間である4789nsにできるだけ近づけることが求められる。また、パルスレーザー自体の性能として、周波数を50MHzまで対応させ、30MHz付近で最大出力となるようにすること、パルス間隔を電子バンチ長の2ns以下にすることが理想である。 新型の266nmパルスレーザーでは、発振器部分に同期ユニットを内蔵し、周波数帯域を1-90MHzに拡大、パルス間隔を5.6nsに短縮することに成功した。これにより、B-modeの4バンチトレインに対して2回の照射が可能となった。テスト実験の結果、出力が8Wを超えるとプロファイルが崩れ、得られるビーム強度が低下し始めることが明らかになった。20-50MHzの周波数帯域と8W以下の出力領域においてプロファイルが安定することが確認された。 各運転モードにおける最適な照射パターンと周波数も検討された。新型パルスレーザーを用いることで、E, F-mode以外のモードでは20MHz以上での使用が可能となった。今後は、令和6年度以降にLEPS2への移設を予定しており、夏のシャットダウン中に移設作業を行う計画である。新型266nmパルスレーザーの特性を十分に活かし、各運転モードに適した照射パターンを適用することで、ベクター中間子光生成実験がより効率的に実施可能になると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高品質(同じ電子バンチで生成される光子数が平均で0.2以下)を保ったままで高強度化を実現するためには、同期パルスレーザーシステムの周波数特性を向上させて、パルス間隔を5 ns以下に短縮する必要があった。令和5年度は、高繰り返し発振のための高性能ファンクションジェネレーターを導入し、もっとも重要な目標であった深紫外レーザーの周波数特性を測定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
レーザー出力が最大になる繰り返し周8種類のビームバンチ構造で十分な質と強度のレーザー電子光ビームを生成するためには最適化が必要である。そのため、様々な同期パターンを用いた実測による最適化を行う。次に、長期間の安定的なレーザーの高繰り返し運用を実現するために、動作環境及び動作状態を常時モニターし記録するシステムを導入し、LEPS2スペクトロメーターを用いたベクターK中間子光生成を伴うハドロン実験を開始する。最終年度には、モニターシステムでレーザー電子光強度の長期安定性を監視するとともに、引き続きベクターK中間子光生成を伴うハドロン実験を遂行し、高統計データを取得する。
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