研究課題/領域番号 |
23H01251
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古屋 正人 北海道大学, 理学研究院, 教授 (60313045)
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研究分担者 |
石川 守 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50373452)
岩花 剛 北海道大学, 北極域研究センター, 海外研究員 (70431327)
柳谷 一輝 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究開発員 (70971985)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 永久凍土 / 合成開口レーダ干渉法 / 森林火災 / サーモカルスト / 地盤変動 |
研究実績の概要 |
永久凍土の融解により凍土中に封じ込められていた炭素(C)が再放出することによって、さらなる温暖化を生み出す可能性がPermafrost Carbon Feedbackとして懸念されているが、その実態は不明な点が多い。地上気温が徐々に上昇することに伴う凍土融解(Gradual thaw)と山火事等による地表擾乱に伴う急で突発的な凍土融解(Abrupt thaw)がありうる中で、前者はモデル予測がしやすいのに対し、後者は文字通りどこで起きるかもわからない。本研究では人工衛星搭載の合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar:SAR)の観測を通じて後者の定量化を目指している。対象領域として、ロシアのサハ共和国バタガイ、米国カナダ国境にあるユーコン準州ビーバークリーク、カナダのノースウェストテリトリでの森林火災跡地での融解沈下をSAR画像を用いた干渉法(Interferometric SAR:InSAR)で検出して、時空間変動を調べた。 バタガイとビーバークリークにおいては、ALOS-2の高分解能画像(約3m)で調べることによって、現地調査との対応も詳細に調べている。Yanagiya et al (2023)で報告したバタガイの2018年火災跡では、2020年以降の3年間で最大20cmの沈降を検出した。時系列解析の結果によると、晩夏にステップ状に沈降を起こしていることが分かる。ただし、火災後内部での沈降分布は不均一が高い。 2023年8月にも前年に引き続き、ビーバークリークの2019年火災跡地で現地調査を実施した。620メートルの観測線を設定し、30メートルおきに融解深をメタルプローブで測定した。観測線の南端で気温計、地温計を設置するとともに、隣接する非火災跡地のコントロールサイトでも同様の測定を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たにカナダのNorthwest Territoryで発生していた2019年の火災跡地での地盤変動のInSAR解析に着手し、明瞭なシグナルを検出することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
新たにカナダのノースウェストテリトリで発生していた2019年の火災跡地での地盤変動のInSAR解析に着手したが、当地では2023年に過去最大規模の森林火災が発生したことから、今後の地盤変動の推移を追跡する。
2024年夏にもビーバークリークでの現地観測を計画している。
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