研究課題/領域番号 |
23H01315
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
笹原 弘之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00205882)
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研究分担者 |
阿部 壮志 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60756469)
永松 秀朗 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (80964791)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アディティブ・マニュファクチャリング / マルチマテリアル造形 / 異方性 / 機能性 |
研究実績の概要 |
① マルチマテリアル造形におけるプロセスウインドウ: ワイヤ+アーク放電方式による金属AMにより,複数の異種金属を用いて構造体を構成するにあたり,造形を可能とするプロセスウインドウ,すなわちアーク放電の電流・電圧・パルスの有無,ワイヤ送給速度,トーチ移動速度,冷却条件などの造形条件と造形状態との関連を調査した.ターゲットとし,高比強度・軽量化においては,Ti合金-Mg合金,Ti合金-Al合金,高強度・耐熱性・熱伝導性の制御の観点ではNi基超合金-Cu系合金,ステンレス鋼-Cu系合金を用いた.ハイスピードカメラと二分岐工学系を用いた赤外線二色放射温度計を構成し,溶融地の温度モニタリングを可能とした. ② マルチマテリアル造形物の構造・形状・寸法と発現可能な機械的・熱的な巨視的機能性: 軽量性,強度や熱伝導性の異方性の制御,傾斜機能性,振動吸収性などの新たな機能性を付与する造形に取り組んだ. 具体的には,複数材料を組み合わせた構造体の形状,寸法,造形精度による強度に対する効果を調査した.また,熱伝導率が大きく異なる異種金属を使用し,高熱伝導金属を一定方向に配向させるような構造的結合をとることにより,熱伝導率についても異方性を付与することが可能であることを明らかにした.さらに,時効硬化材であるA7075と,それよりも耐食性の高いA5053を組み合わせた構造体で,造形後に時効硬化処理を施した場合の特性について明らかにした. ③ 異種金属界面での合金層・金属間化合物層の生成と機械的特性への影響: 異種金属界面で生成する金属間化合物の特性について,冷却速度や投入エネルギに対する溶融池サイズや冷却速度が結晶粒径や組織状態,金属間化合物や欠陥生成に及ぼす影響の調査を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
① 高比強度・軽量化においては,Ti合金-Mg合金,Ti合金-Al合金,高強度・耐熱性・熱伝導性の制御の観点ではNi基超合金-Cu系合金,ステンレス鋼-Cu系合金に対して,マルチマテリアル造形におけるプロセスウインドウの調査に着手し,データ収集することができた. ② ハイスピードカメラと二分岐工学系を用いた赤外線二色放射温度計を構成し,溶融地の温度モニタリングを可能とした. ③ 溶融結合しない複数材料を組み合わせ,入り組んだ構造とする結合方式において,形状,寸法,造形精度による強度に対する効果について調査した. ④ 熱伝導が異なる異種材料を組み合わせた造形物に対して,方向によって異なる熱伝導特性を付与する造形が可能であることを示した. ⑤ 時効硬化材であるA7075と,それよりも耐食性の高いA5053を組み合わせた構造体で,造形後に時効硬化処理を施した場合の特性について明らかにした
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今後の研究の推進方策 |
① マルチマテリアル造形におけるプロセスウインドウ: 複数の異種金属を用いて構造体を構成するにあたり,造形を可能とするプロセスウインドウ,すなわちアーク放電の電流・電圧・パルスの有無,ワイヤ送給速度,トーチ移動速度,冷却条件などの造形条件と造形状態との関連を引き続き調査する.ハイスピードカメラと二分岐工学系を用いた赤外線二色放射温度計を用いて,異種材料を積層する際の溶融地の温度分布と造形条件との関係を明らかにする. ② マルチマテリアル造形物における機械的結合を伴う構造体の形状,寸法,造形精度による強度に対する効果を引き続き調査する.また,熱伝導率が大きく異なる異種金属を使用し,熱伝導率の異方性付与について具体的な特徴ある形状を造形して検討する. ③ 異種金属界面での合金層・金属間化合物層の生成と機械的特性への影響について,溶融地の温度,界面付近の金属組織観察,打撃試験などにより調査を行う.
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