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2023 年度 実績報告書

電場方向制御SERSによる炭素系硬質膜極薄表面グラファイトドメイン方向測定手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23H01327
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

野老山 貴行  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432247)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード表面増強ラマン / 電場方向制御 / 銀ナノ粒子 / ta-CNx / グラファイト
研究実績の概要

本研究では炭素系硬質薄膜の摩擦に伴う極表面のグラファイト構造への変化と低摩擦発現がグラファイト構造の向きと厚みに影響を受けているものと考え,極表面のみを測定可能な表面増強ラマン分光法と,入射電場方向を制御可能なラマン分光装置を用いたグラファイトドメインのエッジの方向を明らかにする研究である.シリコン基板上に成膜されたテトラヘドラルタイプのta-CNx膜に対し,真空中及び大気中での摩擦試験を行い,それぞれ異なる摩擦係数(真空中で約0.04,大気中で約0.4)表面を形成した.ラマン分光分析では入射光及び反射光の光路内に電場方向を偏光可能な偏光子を入れ,入射電場方向を0~90°まで回転可能な機構を搭載した.摩擦によりえられた摩耗痕に対し,異なる電場方向でのSERS測定を行った.その結果,グラファイトドメイン方向と摩擦試験方向には関係性が確認され,低摩擦係数が得られた表面ではta-CNx膜表面において摩擦方向と直交する方向へグラファイトエッジのアームチェアエッジが存在していることが示された.一方,大気中摩擦された高摩擦係数を示すta-CNx膜では,摩擦方向に対して40°方向にアームチェアエッジの存在が確認された.また,相手材料表面への炭素原子の移着も確認され,この移着膜へのSERS測定結果から低摩擦を得た際の移着膜ではアームチェアエッジが摩擦進行方向に平行して存在しており,高摩擦表面では進行方向に対して20°及び50-60°で存在していることが示された.以上の結果をまとめると,低摩擦となる両面に存在する炭素原子のグラファイトドメインの方向はエッジが直交する90°方向,重なり合ったエッジ方向が140°となるincommensurate状態であることが示された.一方,高摩擦表面では重なり合うエッジは60°,90-100°であり,commensurate状態が存在していることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

成膜後のta-CNx膜を用いた異なる摩擦係数表面作製が順調に終了したことや,電場方向制御のための偏向子の作成と予備実験が予想よりもはるかに早く順調に進行したことにより,初年度の研究計画よりも早くデータ取得することができた.

今後の研究の推進方策

同じ成膜炉を用いて作製された別々の成膜試験片の中で,なぜ低摩擦化する膜とそうでない膜が存在するのかを明確にするため,膜内の深さ方向におけるグラファイトドメインの方向を明らかにしていく.膜の内部を測定可能とするカロテスタ(現有設備)研磨加工を予め施した摩耗痕に対し入射電場方向制御SERS測定を実施し,成膜途中の段階において,膜内に存在するグラファイトドメインの方向を明らかにする.この測定により,膜の極表面から深さ方向にグラファイトドメインの向きを明らかにしていく.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Effect of the graphite domain direction on the friction coefficient of tetrahedral amorphous carbon nitride2024

    • 著者名/発表者名
      T. Tokoroyama, C. Fujiwara, M. Murashima, M. Yamaguchi, N. Umehara
    • 雑誌名

      Diamond & Related Materials

      巻: 143 ページ: 110853

    • DOI

      10.1016/j.diamond.2024.110853

    • 査読あり
  • [学会発表] The effect of graphite domain direction on the friction coefficient of diamond-like carbon measured via polarized Raman analysis2023

    • 著者名/発表者名
      T. Tokoroyama, C. Fujiwara, N. Umehara
    • 学会等名
      ISPlasma 2023
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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