研究課題/領域番号 |
23H01337
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
坪田 健一 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (10344045)
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研究分担者 |
劉 浩 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40303698)
中田 敏是 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80793190)
杉本 晃一 千葉大学, 大学院工学研究院, 特任教授 (90408592)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 血流 / 血栓 / マルチスケール / マルチフィジクス / 赤血球 |
研究実績の概要 |
血栓形成における流れと血液凝固の相互作用について,以下の結果を得た. (1)血球(~μm)スケールの分解能で壁面からサブミクロンスケールの領域に対する血栓形成の計算機モデリングを行った.ここでは,粒子法を用いて,血流下における血小板および赤血球運動の計算と,凝固因子濃度の移流拡散を同時に解いた.血液の凝固は,凝固因子濃度が閾値を超えた場合に生じるものとし,凝固によって血しょうを液相から固相に変化させた.シミュレーションの結果,血流の速度に応じた血球運動および血栓形成面の形成速度が,形成される血栓の構成成分を決めることが分かった. (2)中動静脈(~1mm)程度の大きさの血管内における血栓形成のモデル化と計算機シミュレーションを行った.ここでは,既報のラット頸動静脈シャント内に設置されたフィラメント周囲の血栓形成実験を参照し,その流れと血液凝固を同心二重円管モデルを用いた1次元問題でモデル化した.移流の効果は,血栓形成部に流入および流出する凝固因子濃度の収支によって表した.シミュレーションの結果,平均血流速度が血栓形成速度に与える影響を定量的に評価することが可能になった.血流の有無で血栓形成速度は20%~50%変化し,変化の程度は凝固モデルに依存することが確認された. (3)心房細動における左心房心耳部の血栓形成現象を検討するため,壁運動が心房内の血流に与える影響を粒子法および有限体積法を用いて計算した.その結果,凝固因子濃度の移流拡散計算を正確に行うためには,移流項を精度良く計算する必要があること,そのためのモデリングに工夫が必要なことが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流れ下における血液凝固について,その運動学的な特徴が血球スケールおよび見かけの血液スケールでそれぞれ明らかになり,両者を関係づける目途が立った.
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今後の研究の推進方策 |
見かけの血液スケールから血球スケールに至る血栓形成現象を総合的に理解するためには,凝固因子の移流拡散,凝固の反応速度および血球運動を考慮することが重要であることが,今年度の検討から改めて確認された.今後は,血栓形成のマルチスケールモデル構築のために,左心房心耳などを対象として,血球スケールの現象およびスケール間の相互作用の詳細な解析とモデルリダクションを進める予定である.
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