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2023 年度 実績報告書

流体-固体界面における物理量制御の時空間微小極限の解明と非平衡現象制御への展開

研究課題

研究課題/領域番号 23H01355
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

芝原 正彦  大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40294045)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード伝熱 / 流体ー固体界面 / 非平衡現象 / 分子動力学
研究実績の概要

2023年度は分子動力学シミュレーションのための計算機環境の整備と基本計算モデルの構築を行うために以下の研究項目を実施した.
1.計算機環境の整備と基本計算モデルの作成:流体-固体界面系の分子動力学シミュレーションのための基本計算モデルの構築と計算機環境の整備を行った.具体的には,ワークステーションの導入や大型計算機での試行により,解析可能な計算モデルの時間・空間スケールの最大値を検討するとともに,後述する伝熱形態や表面構造の影響評価や非平衡現象解析のための基本モデル系構築とテスト計算を行った.
2.流体-固体界面における高時空分解された諸物理量の取得方法の検討:2-1.空間分解された諸物理量の描像: 流体-固体界面の領域を微小な2~3次元空間に分解し,時間平均された密度,温度の2~3次元空間分布を取得した.2-2.時空間分解された諸物理量の描像: 流体-固体界面の領域を微小な2~3次元空間に分解し,その中に存在する流体分子の密度,温度から,時間平均されていない密度,温度のゆらぎの2~3次元空間分布を取得した.
3.表面性状および巨視的な伝熱形態のモデリング法の検討:表面性状の影響評価を目的として,ナノスケールの矩形構造の付与や表面の濡れ性の変化に関するモデリングを行った.また,巨視的な伝熱形態の解析への組み込みを目的として,界面における熱伝導およびふく射による伝熱過程を分子動力学解析においてモデリングする方法を検討した.熱伝導のモデリングは容易であるが,ふく射伝熱は量子力学的なモデリングが必要であることが分かった.
4.非平衡現象解析の準備:沸騰伝熱における気泡核生成,凝固核生成,触媒反応などの非平衡現象の解析のための基本プログラムを整備した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最初に,計算機環境の整備と基本計算モデルの作成,流体-固体界面における高時空分解された諸物理量の取得方法の検討はおおむね順調に進展している.
また,表面性状のモデリングについては基本モデルについて検討済であり,順調に進展している.巨視的な伝熱形態の解析において,熱伝導の非平衡過程を古典分子動力学解析で扱うことは可能であるが,ふく射伝熱の非平衡過程をシミュレートするには量子分子動力学的な扱いがモデリングとなることが分かった.今後,巨視的な熱伝導過程を先に解析を行い,ふく射伝熱過程については引き続き解析方法の検討を行っていく.
さらに,沸騰伝熱における気泡核生成,凝固核生成,触媒反応などの非平衡現象の解析のための基本プログラムを整備できたことから,非平衡現象のシミュレーションの準備もおおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

2023年度には,基本プログラム,基本モデルと計算環境が整ったことから,2024年度からは,巨視的な熱伝導による加熱・冷却時の単原子スケールからナノメートルスケールの表面微細構造および表面特性分布が平衡および非平衡時の局所物理量の変化に与える影響を分子動力学シミュレーションにより明らかにする.
また,非平衡現象への界面性状の影響について,以下の解析を順次,行っていく予定である.(1)単原子スケールからナノメートルスケールの構造および表面特性分布が局所熱抵抗分布に与える影響,(2)単原子スケールからナノメートルスケールの構造および表面特性分布が気泡核生成に与える影響,(3)単原子スケールからナノメートルスケールの構造および表面特性分布が氷核生成に与える影響
さらに上記の実施後に,(4)非平衡現象予測のための機械学習・深層学習プログラムの整備,(5)触媒反応の基本プログラムの整備,を行い,ふく射伝熱過程のモデリング方法の検討も行うことを予定している.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Molecular dynamics investigation of the effects of thin periodic defective graphene on the interfacial thermal resistance at liquid-solid interfaces2024

    • 著者名/発表者名
      Jiang Zhiwen、Shibahara Masahiko
    • 雑誌名

      Numerical Heat Transfer, Part A: Applications

      巻: - ページ: 1~14

    • DOI

      10.1080/10407782.2023.2300355

    • 査読あり
  • [学会発表] 固液界面近傍における局所熱抵抗のゆらぎとスペクトルに関する分子動力学的研究2024

    • 著者名/発表者名
      大森 匠人, 大木 祐利, 藤原 邦夫, 芝原 正彦
    • 学会等名
      日本機械学会関西支部第99期定時総会講演会,P221
  • [学会発表] 固体面近傍における水分子の動的特性と氷核生成に関する分子動力学的研究2024

    • 著者名/発表者名
      増田 紫龍, 藤原 邦夫, 芝原 正彦
    • 学会等名
      日本機械学会関西支部第99期定時総会講演会, P120
  • [学会発表] ナノスリット構造内液体の界面熱抵抗に関する分子動力学的研究2024

    • 著者名/発表者名
      吉田舜一朗, 植木 祥高, 藤原 邦夫, 芝原 正彦
    • 学会等名
      日本機械学会関西支部第99期定時総会講演会, 20307
  • [学会発表] 伝熱面特性による沸騰核生成の制御に関する分子動力学的研究2024

    • 著者名/発表者名
      武南 和樹, 藤原 邦夫, 芝原 正彦
    • 学会等名
      日本機械学会関西学生会2023年度学生員卒業研究発表講演会,11AM2-3
  • [学会発表] Molecular dynamics study on the distribution of local thermal resistance at a nanostructured solid-liquid interface2023

    • 著者名/発表者名
      Yuri Oki, Kunio Fujiwara, Masahiko Shibahara
    • 学会等名
      The 33rd International Symposium on Transport Phenomena
    • 国際学会
  • [学会発表] Effects of Nanostructure on Local Surface Energy Transfer during Water Condensation using Molecular Dynamics Simulation2023

    • 著者名/発表者名
      Masahiko Shibahara, Ryotaro Senoo
    • 学会等名
      The 9th Asian Symposium on Computational Heat Transfer and Fluid Flow-2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 固液界面近傍における高空間分解された液体の拡散特性 に関する分子動力学解析2023

    • 著者名/発表者名
      渡部 佑斗, 藤原 邦夫, 芝原 正彦
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2023
  • [学会発表] 微細構造面上の氷核生成・成長における 高時空間分解された物理量に関する分子動力学的研究2023

    • 著者名/発表者名
      芝原 正彦, 柏木 良太
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2023

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公開日: 2024-12-25  

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