研究課題/領域番号 |
23H01395
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
三浦 友史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90354646)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | VSG / グリッドフォーミングインバータ / 無瞬断自立系統移行 / 複数台一括連系 / 仮想同期発電機制御 / GFM |
研究実績の概要 |
太陽光発電などインバータを介して電力系統に連系される分散電源は非同期電源と呼ばれるが,非同期電源の系統容量に占める割合が増加すると系統の慣性が不足し,周波数が不安定になることが懸念されている。慣性不足の問題を解決するために,系統に疑似慣性を供給できる仮想同期発電機制御インバータ(VSG)の導入が検討されている。VSGは自らが電圧の大きさと周波数を決定できるため,主系統停電時には自立運転に無瞬断で移行可能である。 しかし, VSGが複数台連系されている小規模系統が主系統から切り離される場合には,解列による擾乱のためにVSG間に低周波電力振動(LFO)が発生し,一部のVSGの出力電力が過大となって,過電流や過渡不安定性が生じる可能性がある。一方,主系統が復電した場合にも複数台のVSGを一括して主系統の電圧位相に同期し無瞬断で連系する手法を確立する必要がある。そこで本研究では,無線通信を想定した低速度通信を利用して,複数台のVSGから構成される小規模系統の解列および連系の手法を確立する。 令和5年度には,まず3台の等容量のVSGと負荷から構成される小規模系統が主系統から遮断器1台によって解列される条件を想定し,その場合の過渡安定性について回路シミュレーションを用いて検討した。その結果,解列前の負荷条件などによってVSG間に発生するLFOの振幅や電力相差角の振動が大きくなり,過電流が発生する可能性が高くなることを明らかにした。またこの問題はVSGの容量に差がある場合や線路インピーダンスが大きい場合に深刻になるのでVSGの制動係数などの制御パラメータを適切に設定する必要があることを示した。本成果については,電気学会東京支部新潟支所大会において報告した。また,1台の系統を模擬した電源と2台のVSG制御を実装したインバータによって構成される小型試験設備を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに回路シミュレーションでは,複数台の仮想同期発電機制御インバータ(VSG)から構成される小規模系統が主系統から遮断器によって切り離される場合に発生するVSG間の低周波電力振動による過渡不安定性について検討してきた。また,低速度通信を利用して複数台のVSGを協調させ,主系統に一括再連系を行う手法について検討を進めてきている。これらの成果は成果については,電気学会東京支部新潟支所大会において報告した。 一方,DSPによって制御される1台の系統模擬電源と2台のVSG制御を実装したインバータによって構成される小型試験設備を構築しており,これまでに基本的なシステムの定常運転を確認している。 以上の理由より研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
低速度通信を用いた複数台の一括解列・連系について令和5年度に引き続き回路シミュレーションおよび実験によって検討を行う。 一括解列については,複数台のVSGの過渡安定性と電圧安定性について,解列前の負荷条件の影響を検討する。解列が計画的であるならば,擾乱の影響を小さくするようなVSGの制御パラメータを適応的に変化させる手法について検討する。 一方,一括連系についても,主系統が復電後に,通信を用いて複数台のVSGの制御パラメータを協調的に変化させ設定することにより,主系統との短時間の同期手法,遮断器投入時の擾乱の影響の軽減手法等を検討する。 試験設備としては,令和5度年に構築した2台のインバータと電源を模擬した小型系統試験装置に異なる容量のインバータ1台を追加して拡張し,試験を行う。一括連系の手法については,電気学会の部門大会および研究会において報告する。
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