研究課題/領域番号 |
23H01444
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
畑野 敬史 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00590069)
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研究分担者 |
生田 博志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30231129)
山下 太郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (60567254)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 鉄系超伝導体 / 薄膜作製 / 光子検出器 / 微細加工 |
研究実績の概要 |
超伝導現象を活用した単一光子検出器(SPD)は、検出効率/検出精度/検出速度など多くの点で既存の半導体ベースSPDを凌駕する性能を有する。このため、先進通信技術である量子暗号通信の確立・普及に大きく寄与すると期待されている。超伝導SPDの動作温度を向上し、その汎用性を高めるために、転移温度の高い高温超伝導体薄膜ベースのSPD開発が重要である。本研究では50 Kを超えるTcを示す鉄系高温超伝導体NdFeAs(O,H)に注目し、本系の高品位極薄膜の作製と極微細化を実現することで、高温動作可能な超伝導型SPDを目指すものである。 本年度の実績は以下である。まず薄膜作製については、薄膜表面に還元力の強い金属薄膜を蒸着してから熱処理を適切に実施することにより、金属膜が酸素ゲッターとして機能し、トポタクティック反応による水素化を効率よく進めるという独自手法を確立した。また対照実験により適切なmetal種の選定を実施したところ、AlおよびTiを用いることで効率的な処理が可能であることを明らかにした。さらに、Alを用いた場合、プロセス後に残留する表面のAl/Al2O3層は、適切な溶媒を用いて選択エッチングも可能であることも確認した。これにより、表面を劣化させることなく水素化薄膜が作製可能となった。次に微細加工については、反応性イオンエッチングによるミリングプロセスで生じるダメージの検討を行った。そのうえで、電子線リソグラフィによる本系の微細加工技術を確立し、200 nm線幅の加工まで実施可能であることを明らかにした。光子検出システムの立ち上げについては、NbN薄膜の成膜条件を整え、NbN薄膜の量産体制を確立し、テスト測定デバイスの作製と、専用パッケージの作成を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、薄膜作製については、表面金属層の選択エッチング手法の確立、適切なmetal種の選定など、当初の予定通りの順調な進行である。これに加え、還元剤を様々に変えて実験していたところ、歩留まりの大幅向上や、当初想定していなかったフッ化プロセスへの展開につながる進展などが得られた。次に微細加工については、電子線リソグラフィを用いた微細加工は計画通りの進行である。これに加え、得られた試料の一部を断面組織観察したところ、表面保護層の活用により、当初は難しいと思われた極薄化が実現できていることを示唆する結果が得られ、当初予定していた以上の微細化・極薄化につながる進展が得られている。一方、光子検出システムの立ち上げについては、良質かつ均質なNbN薄膜を得る条件出しが完了し、テストデバイス用の微細加工に着手したものの、成膜装置の長期メンテナンスの影響等により、準備段階で止まっている。以上の結果を受け、おおむね順調に進捗していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
薄膜作製については、適切な置換量選択が重要になると思われるため、再現性良く置換量をコントロールする手法の開発に取り組む。微細加工については、プロセス条件をさらに突き詰め、検出実験に備えて極細線線幅のメアンダ構造を15 um x 15 um程度の領域で加工することを目指す。光子検出実験については、NbNベースSPDでの光子検出実験のテスト完了・低温域で光子検出実験を行ってNdFeAsOデバイスの動作検証実験を目指す。最後に、対破壊電流にせまるバイアス印加により、2 マイクロメートル幅程度の比較的加工難度の低い構造でも単一光子検出が可能であるという報告が最近大きな注目を集めているため、これについても検討の上取り組む。
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