研究課題/領域番号 |
23H01485
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
宮里 心一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60302949)
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研究分担者 |
花岡 大伸 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (90751529)
田中 泰司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40377221)
松下 裕 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (60393568)
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (40597689)
大嶋 俊一 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (30367453)
藤本 雅則 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30782114)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 鉄筋コンクリート / 複合劣化 / 塩害 / ASR / 凍害 / 腐食速度 |
研究実績の概要 |
初めに,カルマンフィルタによる鉄筋コンクリートの腐食速度予測に関する研究について実績を述べる.1年目の研究では,過去から現在までの分極抵抗と自然電位の測定値に対してカルマンフィルタを活用し,将来の値の予測を試みた.すなわち,モルタル供試体に対する過去の4回分の実験値を時系列データである観測値としてカルマンフィルタへ入力し,5回目の実験日の値を予測した.その結果,5回目の予測値と実験値は同等になり,カルマンフィルタによる鉄筋腐食の将来予測の可能性を明らかにできた.その上で将来の6回目の値の予測も試みた. 次に,コンクリート抵抗の評価に関する研究について実績を述べる.1年目の研究では,供試体を異なる乾湿環境に暴露した後の分割鉄筋間のコンクリート抵抗を測定した.その結果,供試体の形状(軸部材、隅角部材、面部材)に拘わらず,また 乾湿状態に拘わらず,鉄筋要素間の距離が遠くなるほどコンクリート抵抗が増加した.さらに,熱回路モデルを用いて,隅角部材の解析を行った結果,一軸部材と同様の傾向を示した. 最後に,コンクリート中の鉄筋腐食の評価方法である交流インピーダンス法の分析に関しては、鉄筋コンクリートの電気化学反応を等価回路図を用いて表す際に,かぶりコンクリートの特性によって変化する可能性に着目し、中性化コンクリートや二酸化炭素吸収コンクリートのかぶり特性が変化することを踏まえて,回路図が変化した際の分極抵抗の解読に取り組んだ.1年目は基礎的検討として,炭酸化させた鉄筋コンクリート供試体に対して交流インピーダンス測定を行い,そのBode線図とCole-Cole Plot から等価回路図を推測した.その結果、炭酸化した鉄筋コンクリートの交流インピーダンス測定において,誘導性挙動,2つの時定数,実数軸方向につぶれた挙動を考慮した等価回路図を推測できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、鉄筋腐食した既設コンクリート部材における、現時点までの電気化学的測定結果を入力値として、将来の腐食速度を出力値とする解析モデルを構築する。具体的には、現時点、前時点および前々時点に測定された分極抵抗、鉄筋電位およびコンクリート抵抗に対して、カルマンフィルタの考え方を導入して時系列解析し、それに基づき将来の分極抵抗、鉄筋電位およびコンクリート抵抗を算出する。その後、熱流体力学を応用して将来のコンクリート中の電位を補完算出しながら腐食速度を出力するモデルを構築する。加えて、実部材へ適用するため、電気工学的知見に基づき分極抵抗測定方法を改良する。これらを学際的に取り組み、達成する。 令和5年度には、土木工学とメディア情報学の融合により、カルマンフィルタの考え方を鉄筋コンクリートの腐食に適用し、分極抵抗と自然電位の将来予測に着手した。また、土木工学と機械工学の融合により、電気回路モデルと熱回路モデルの類似性を活用し、隅角部における電気抵抗の可視化に取り組んだ。さらに、土木工学と電気電子工学の融合により、コンクリート中の鉄筋の分極抵抗測定における、交流インピーダンスの分析に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
カルマンフィルタを応用した鉄筋コンクリートの腐食速度予測に関しては、分極抵抗と自然電位の値に加えて、分極曲線の値も対象に加えた研究を推進する。また、表面被覆工法と断面修復工法等の補修のモデル化も検討する。 また、コンクリート抵抗の可視化に関しては、従来の一軸部材に加えて、隅角部や面部材の電気抵抗の評価を推進する。 さらに、鉄筋コンクリートの分極抵抗の分析に関しては、等価回路から不働態皮膜が感度を示す信号(応答時定数)を理論解析し、分極抵抗測定を合理化する。
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