研究課題/領域番号 |
23H01506
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
林 和幸 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (30587853)
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研究分担者 |
角田 範義 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 理事・副学長 (30201411)
岡村 未対 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (50251624)
岸本 昇 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (50280433)
安原 英明 京都大学, 工学研究科, 教授 (70432797)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 地盤改良 / 炭酸カルシウム / 一軸圧縮強さ |
研究実績の概要 |
大豆から抽出される粗製ウレアーゼを使用した既存の炭酸カルシウム法薬液注入技術は,改良効果,施工コスト,環境影響ともに優れる新しい地盤改良技術として期待されてきた。しかしこの技術は,細砂の土粒子径付近では強度改良効果が強く発揮されるものの,その範囲から外れると改良効果が著しく低下するという弱点を有していた。研究初年度である本年度は,a)地盤試料の粒度に関するウレアーゼを含有する既存薬液の適用性と,b)薬液作製条件の最適化と改良効果について実験を中心に研究を進めた. 薬液作製条件の最適化は,薬液の低コスト化,使用薬液の成分と作成工程の単純化,および使用する粉砕大豆の粒径の最適化に着目して砂試料の固化実験を実施した.その結果,廃棄大豆は十分にウレアーゼ活性が高く利用可能であること,既存の薬液作製工程で導入されていた粉末大豆の遠心分離における冷却工程および添加物である硫酸カルシウムは不要であること,結晶粒径の制御に利用できる可能性があった塩化物の結晶については,本研究の濃度の範囲では効果がないことが明らかとなった.また,地盤注入直前に実施される2薬液の攪拌混合過程には,地盤試料を固化させるための最適混合条件が存在し,600rpmで5分間程度の適度に混合することが重要であることが明らかとなった.これらによりある程度最適化された薬液を使い,粒径が異なる3種類の砂の固化を試みたところ,平均粒径が0.4mm程度の砂で一軸圧縮強さ200kPaが得られたものの,平均粒径が0.1mmおよび0.7mmの砂では50kPa程度であり,砂の粒径に対する適用範囲は改善できていないことが明らかとなった.さらなる最適化として,薬液作製過程で遠心分離工程は入れず,粉砕大豆の粒径に着目しその最適粒径を調べた結果,粒径0.85~2.0mmの破砕大豆を使えば,遠心分離を行った場合と同等の強度が得られることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初計画の予定通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
細粒土に対し適用性が高い薬液の探索と,地盤注入時に地中で進む固結物質(炭酸カルシウム結晶)の発現過程をデジタルマイクロスコープを使い把握する.さらに,同じ装置を使い,炭酸カルシウム結晶の発現速度や結晶サイズと薬液濃度の関係を明らかにし,地盤試料の粒径に応じた,あるいは様々な粒径に適用可能な薬液条件を探索する.
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