研究課題/領域番号 |
23H01579
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本間 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90633371)
|
研究分担者 |
山田 悟史 立命館大学, 理工学部, 准教授 (00551524)
安田 渓 京都大学, 工学研究科, 助教 (70874345)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | VR / 注視 / 視覚情報 / Isovist / コンピューテーショナルデザイン / アイトラッキング |
研究実績の概要 |
当初の計画に沿って、VR(仮想現実)空間での被験者実験および、コンピュータ上のシミュレーションの両面から、都市や建築における視覚情報について研究を進めた。 VR実験については、(1)注視パターンの観察と理論化、(2)開口部と視点の相対位置が開放感とプライバシー感に与える影響の分析、(3)視線中心に対する水平角と仰俯角に応じた認識率と認識速度の減衰度の特定、(4)スキャニングによってデジタル化した空間の解像度とその印象の関係性の把握などを行った。これらは、知覚心理学上の新たな知見をVR実験によって導出した研究であるといえる。とくに、(2)の研究は開放性とプライバシー性を両立させる開口部の設計に役立ち、(3)の研究はシミュレーションにおける非現実的な均等視仮定を緩和する成果をもたらした。 シミュレーションについては、(5)大きさを持つ視対象が部分的に見える状況の分析、(6)ルーバーや京町家の格子などの境界面が生む非対称な可視性の再現、(7)屋内から開口部越しに見える眺望を設計時に詳細に記述するツールの開発、(8)視線ベクトル法を用いた経路上の景観変化を記述するツールの開発などを行なった。これらの研究は、Isovistに代表される従来の可視性分析を多様な方法で拡張し、より精緻な分析を可能にした。とくに(5)と(6)の研究は、VRによる被験者実験と組み合わせることでモデルパラメータを特定しており、シミュレーション実験とVR実験の連携を示す例となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画であった、VR空間での被験者実験およびコンピュータ上のシミュレーションの両面について、十分な成果を挙げることができた。また、翌年度の計画に含まれていた両者の連携についても部分的に前倒して実施でき、全体的に順調に進捗しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って、現在進めているVR空間での注視実験およびコンピュータ上のシミュレーションをさらに推進しつつ、両者のアプローチの連携を深め、確率的な注視モデルを開発する。そしてこのモデルを用いて、例えば「シークエンシャルな空間」「非対称な視覚体験を生む境界」「開放感とプライバシーを両立する開口部」などの視覚的評価を行うとともに、それら評価を高めるための最適化デザインを行う計画である。
|