研究課題/領域番号 |
23H01585
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
位田 達哉 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (40434279)
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研究分担者 |
梅津 信二郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70373032)
高口 洋人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90318775)
宮津 裕次 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 准教授 (70547091)
脇田 健裕 早稲田大学, 理工学術院, 客員主任研究員(研究院客員准教授) (10469025)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 建設型応急住宅 / 3Dプリンタ / 3Dスキャナ / ICT施工 / パラメトリック解析 / 生物模倣 / 木質フィラメント / FDM |
研究実績の概要 |
我が国において地震災害の脅威を免れずことはできず,被災後の建築資材不足は大きな問題のひとつとなる。災害復旧においては,その初動が重要であるにも関わらず,被災直後には建築資材の不足が生じてしまうことなどから,建設型応急住宅の着工は後回しにせざるを得ない。本研究では,被災によって発生した住宅系の災害廃棄物を用い,被災後速やかに構築できる緊急仮設シェルターとしての建設型応急住宅を提案する。研究初年度である2023年度は,下記の2項目について検討した。 1.3Dスキャナと3Dプリンタを活用した不定形な自然素材の接合方法の検討 災害廃棄物の素材・形状に着目し,これらの接合方法を検討するため,不定形な線材同士を(1)3Dスキャン(2)点群をメッシュデータとした接合部の形成(3)接合部の3Dプリントおよび接合の3段階で検討した。その結果,可変的な接合だけでなく解体も可能な試作品ができた。 2.災害廃棄物を混合した再生フィラメントの製造 仕口・継手ユニットは,樹脂フィラメントに被災地で調達可能な廃材を混入し,地産地消の資材で極力賄えるような計画としている。3Dプリント用のフィラメントは、構成材料の比率を変えることによって機械的特性の調整が可能である。今回、市販のフィラメント製造器を改造して廃木材の粉体を混ぜた再生フィラメントを製造するため,熱可塑性樹脂をバインダーとして,その一部を廃材粉末で置換した再生フィラメントを試作した。このフィラメントを用い,現時点では,一般に普及しているフィラメントを用いるFFF(Fused Filament Fabrication)方式で20%,ペレットを用いるFGF(Fused Granulate Fabrication)方式で30%の木粉を樹脂から置換した3Dプリント生成物を印刷することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3Dスキャナと3Dプリンタを用いた非定型な部材同士の接合を可能とする技術に目処は立った。ただし,発生しうる災害廃棄物を想定したケーススタディまでは至っておらず,継続した検討が必要である。また,再生フィラメントの製造については,まだまだ改善の余地があり,力学的性質を保持したうえで,最適な災害廃棄物の置換率を定めるまでに至っていない。これらの検討は2023年度で終える予定であったが,予想外にパラメータが多くあり,2024年度にも継続して実施する方針とし,2024年度の研究計画と並行して進める。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の取り組みから,3Dスキャナと3Dプリンタを用いた部材接続の方法について検討を深めることができた。また,3Dプリンタを用いた廃材プリント技術に見通しを立てることができた。 2024年度は,これらの建築構造的な特性を明らかにするため,接続部位の強度特性を実験的に調査するとともに,パラメトリックな接続方法についての検討を進める。また,2023年度の研究で課題となった設計パラメータや災害廃棄物の置換率に関する追加研究も並行しておこなう。 最終年度となる2025年度は,材料・構造的な検討を踏まえた試験施工および環境評価によって,本研究で提案する建設型応急住宅の実用可能性を明らかにする。
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