研究課題/領域番号 |
23H01599
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
横田 茂 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30545778)
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研究分担者 |
嶋村 耕平 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (90736183)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 電気推進 / ホールスラスタ / 電離振動 / ローテーティングスポーク現象 |
研究実績の概要 |
2023年度は、ホールスラスタにおける3つの作動モード((1)安定作動,(2)電離振動作動,(3)プラズマ回転作動)が発現する磁場の大きさの範囲を割り出すために、磁場を変更しながら放電電流の時間履歴を取得した。また、(2)電離振動と(3)プラズマ回転作動の区別のために、外部からの高速度撮影を行なった。この結果、磁場がある一定値以下においては、(1)安定作動、それ以上になると(2)電離作動となり、更に高磁場を印加すると、(3)プラズマ回転作動モードになることがわかった。ただし、(1)安定作動と(2)電離振動作動は、放電電流履歴および高速度撮影結果から明確に区別ができたが、(2)電離振動作動と(3)プラズマ回転作動は明確な一定の閾値があるわけではなく、これら(2)と(3)の間に遷移領域のような作動領域があることがわかった。さらに、(3)プラズマ回転作動領域において、磁場の印加量を増加させると、回転速度が早くなることがわかった。 これと並行して、ホールスラスタ内部の電子の輸送メカニズムのうち、支配的な現象を明らかにするために、PIC-DSMC法を用いた数値解析コードの構築を開始した。解析コードとしては、主に(1)安定作動と(2)電離振動作動を再現・比較するためのr-z空間2D3V数値解析コードと、主に(3)プラズマ回転作動を模擬するためのθ-z空間2D3V粒子法コードの2種類を構築している。現時点では、上述の通り実験的に取得した放電電流値を用いて、数値解析コードの検証作業までおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度当初の予定通り、ホールスラスタの(1)安定作動、(2)電離振動作動、(3)プラズマ回転作動の3つの作動モードが見られる作動領域(印加磁場領域)を放電電流計測および高速度カメラによる撮影から割り出した。 また、粒子法を用いた数値解析コードも構築する予定であったが、これについても当初の予定通り、コーディングを完成させ、実験結果を用いた検証作業を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
仮想陰極領域の変形が電子電流の不均衡によって起きることを示すため、上記(1)~(3)のケースにおいて、推進機内部の陽極に向かう電子電流の「中性粒子-電子間衝突での拡散による分」、「軸方向電場による分」、「周方向電場と磁場の干渉による分」の内訳を明らかにし、それぞれの場合の電位構造との比較を行う。また周方向の電流は電位分布から算出可能である.このため、トリプル・プローブ法を用いて電子数密度分布,電位分布,電子温度分布の時間履歴の計測をおこなう。2024年度は、複数のプローブを一度に推進機内部に瞬間挿入して、多点同時瞬間計測を行うシステムの構築を行う。
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