研究課題/領域番号 |
23H01647
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清野 健 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40434071)
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研究分担者 |
金子 美樹 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10795735)
重松 大輝 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50775765)
緒形 ひとみ 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (80455930)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 生体情報 / 月経随伴症状 / 更年期症状 |
研究実績の概要 |
女性農業者を対象に,アンケート調査および生体情報モニタリングを実施した.アンケート調査では,月経と関連した課題,女性農業者の労働安全衛生上の課題,および,健康上の課題について調べた.対象は,三重県農村女性アドバイザー,および,その家族と従業員である.今回の調査結果では,女性農業者の78.6%が月経により仕事中につらい思いをしたと回答した.また,64.6%が,更年期症状により仕事中につらい思いをしたと回答した (今回のアンケート調査では,50歳以上が77%占めていることに注意).これらの集計に加えて,プレゼンティズムおよびアブセンティズムによる労働損失を推定した.この調査については,前述のアンケート調査 (113例)に加え,Webアンケート (356例)を実施した.Webアンケートに基づく推定では,年間一人当りの労働損失が,月経症状により約17万円,更年期症状により約28万円となった. 生体情報モニタリングでは,ウェアラブル生体センサを用いて,作業中を含む日常生活中の心拍数,身体活動量,衣服内温度を計測した.これらの生体情報の分析に基づく体調不良の評価法について検討した.アンケートに基づく主観的体調評価結果と比較した結果,体調不良がある場合には,身体活動量に依存した心拍数の応答が,高心拍数方向にシフトする傾向が見られた.また,月経周期に依存した心拍数の変動パターンが観測された.女性の場合,月経周期に依存した心身の不調(月経随伴症状)が生じるため,月経周期を考慮した体調評価を実現する必要がある.今後,より詳細に生体情報データ,および,アンケートデータを分析することで,ウェアラブル生体センサを活用した女性農業者の健康サポートを実現したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
女性農業者を対象にしたアンケート調査および生体情報モニタリングを計画通り実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,女性農業者を対象にした,アンケート調査および生体情報モニタリングを規模を拡大して実施する.アンケート調査は1000人以上,生体情報モニタリングは50人以上の規模を想定している.女性農業者において,月経随伴症状,および,更年期症状がもたらす労働損失を推定することは,女性農業者への支援の重要性を社会に示す上で非常に重要である.女性農業者への生涯を通じた健康支援のありかたを検討するために,アンケート調査を通じて,女性農業者の現状の課題を明らかにしたい. 生体情報モニタリングによりえられた生体情報の分析については,月経周期,および,更年期症状の影響を考慮する必要がある.今後,女性農業者を含む女性の生体情報の長期モニタリングを実施し,生体情報解析に基づく月経周期,および,更年期症状の評価法を開発する.また,夏季の気温上昇は女性農業者の熱中症発生リスクを高めている.熱中症予防対策を含んだ女性農業者の健康支援技術を,今後の研究において開発する.
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