研究課題/領域番号 |
23H01651
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
角 保志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30357305)
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研究分担者 |
金 奉根 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10415672)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | センサ性能評価 / 屋外環境 / ディペンダビリティ / フィールドテスト / 国際標準化 |
研究実績の概要 |
本研究は、屋外環境における非接触安全センサのディペンダビリティ、すなわち、環境条件によってセンサが機能を喪失する一年あたりの累積時間を評価する手法の確立を目的とする。研究初年度である2023年度は、以下を実施した。 1) フィールドテスト環境の整備 ディペンダビリティ評価に必要な、センサ機能喪失条件とその発生頻度・時間を調査・分析するためのフィールドテスト環境を整備した。前方散乱式視程計と複合気象センサを主体とする気象観測システムと、距離画像センサによって長期にわたる物体検出を実行するフィールドテストシステムを開発し、両システムを産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究棟屋上に設置し、気象観測データと物体検出結果を同期して蓄積・分析するための記録システムを構築した。同システムによる短~中期の予備実験を繰り返し実施し、装置およびシステムの耐久性、防水性、保守性など、長期テストのための問題点を洗い出し、装置を改良した。 2) 公開気象データとの比較 産総研に隣接する高層気象台の即時気象データからセンサのディペンダビリティを推定する手法の開発に着手した。物体検出システムの視野範囲(物体検出エリア)が曝露される極めて局所的な気象データと、公開気象データの時空間的にある程度まで平滑化された気象データの関係性を明らかにするため、1)で開発した観測システムで得られる気象観測データと、気象庁から公開される即時気象データの構造を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) フィールドテスト環境の整備はおおむね計画通りに進展している。2024年の台風シーズンまでに、長期フィールドテストを開始する予定である。 2) 公開気象データとの比較はやや遅れている。当初計画では、フィールドテストシステムで記録した観測データと公開気象データの比較・分析作業をスタートする予定であったが、1)のフィールドテスト環境整備を進める過程において、観測データを記録・可視化するソフトウェアシステムの機能整備を優先すべきであるとの結論に至り、2023年度は、公開気象データと実際にフィールドテストシステムで記録する観測データのデータ構造を分析するにとどまっている。 以上を総合的に判断して、本研究全体ではおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
1) フィールドテストによるセンサ機能喪失条件とその発生頻度の調査・分析 研究初年度に構築した試験環境で、長期フィールドテストを開始する。前方散乱式視程計、降水粒径速度分布測定装置、複合気象計からなる気象観測装置と、距離画像センサによる物体検出システムを統合し、気象データと物体検出データを同期して記録できる試験システムを実現する。台風シーズンが始まるまでに、統合システムによる観測を開始する。これと並行して、記録した気象データと物体検出データを分析するためのソフトウェアシステムを開発する。豪雨や霧等、センサの物体検出性能に影響を及ぼす可能性のある気象イベントを抽出し、物体検出への影響を調べるとともに、その結果をフィードバックさせて、試験システムの設定を変更する。観測・分析のループを繰り返して試験システムの完成度を上げ、最終年度である研究3年目までに、年間を通じた長期フィールドテストを開始する。補助事業期間終了までに、それまでに得られた観測データを分析し、センサ機能喪失条件とその発生頻度・時間を明らかにする。 2) 公開気象データとの比較分析によるディペンダビリティ評価手法の確立 2024年度は、高層気象台の即時気象データとフィールドテスト環境で得られた観測データを比較・分析するためのシステムを構築する。環境シミュレータ装置で再現した人工降雨・霧・降雪環境での追加実験を必要に応じて実施し、研究最終年度には、公開気象データからセンサ機能喪失条件とその発生頻度・時間を推定する手法を開発する。補助事業期間終了までに、推定手法を全国に155箇所ある気象庁の地上気象観測地のデータに拡張できるかどうかを検討し、全国各地に適用可能なディペンダビリティ推定法の確立を目指す。
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