研究課題/領域番号 |
23H01690
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島ノ江 憲剛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (10274531)
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研究分担者 |
渡邉 賢 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90552480)
末松 昂一 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90637555)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ガスセンサ / 金属酸化物 / レセプター / 超高感度 / 超選択性 / MEMS / パルス駆動 / 部分酸化 |
研究実績の概要 |
アルミナ基板を用いたセンサ素子およびType-AのMEMS素子について、被検ガスを吸着するレセプターのMoO3、WO3、Bi2O3などの酸性酸化物をSnO2粒子に担持し、ガス分子の構造に特有な部分酸化反応(特異な反応経路)を生じさせ、選択的ガス検知の可能性を検討した。さらに、各レセプター担持SnO2からの昇温酸素脱離特性、および検知ガスに対する昇温還元特性、質量分析による生成ガス解析などを行い、触媒特性を評価した。 その結果、MoO3およびWO3のレセプターにおいてはエタノールやアセトンの選択性が桁違いに高く、Bi2O3はガス選択性は低いものの、ほとんどの有機系ガスに高い感度を示すことが明らかになった。MoO3およびWO3の選択性の要因を検討するためにガス吸着特性およびその反応生成物を作動温度を変化させながら検討したところ、高温ではこれら酸化物上でエタノールからエチレンを、レセプターのないSnO2ではアルデヒドを生成することがわかり、酸性酸化物レセプターでは反応経路が異なること、さらにメタノールではエチレンが生成せず、CO2を生成しやすいこと、アセトンなども酸性酸化物上で部分酸化反応などを生成しやすいことなど、興味ある知見が得られた。さらにMEMS素子を用いたパルス駆動にMoO3担持SnO2を用いたところ、ガス吸着とその酸化反応が著しく促進され、エタノールとメタノールで通常1.6倍程度の感度差がでるところが、200倍以上の感度差を示すことが明らかになった。これらのレセプターを担持したセンサを組み合わせることで、極低濃度域での優れたガス識別が可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅延理由として、以下の三つが挙げられる。 1)物価高による物品未調達や物品の変更 2)物品納期のさらなる遅延。 3)2023年5月に改修工事のため、実験室および居室を別の建屋に移動し、また2024年4月に元の場所に戻るという約3カ月以上の研究時間ロスがあった。さらに、その移動過程で、物品の故障が相次ぎ、新品を購入するにしても納品が遅延することが多く発生した。
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今後の研究の推進方策 |
各金属酸化物レセプターを担持したSnO2の様々なガスに対する触媒特性を明らかにし、これらとMEMS素子のパルス駆動を連結したセンシングシステムの優位性を検討する。さらに、それぞれの金属酸化物レセプターに加えて第二のレセプターとして貴金属を導入し、反応経路をさらに制御した系を検討する。これらを基に、MEMS素子から得られる4つのセンサ特性を各素子で測定温度を変えながら比較検討し、種々のガスに対する感度および選択性データから検知指標として最適なパラメーターを抽出する。
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備考 |
新聞発表
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