研究課題/領域番号 |
23H01711
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小林 千悟 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10304651)
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研究分担者 |
今村 健志 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70264421)
間島 直彦 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70274321)
岡本 威明 愛媛大学, 教育学部, 教授 (20398431)
岡野 聡 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (30363253)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 金属組織 / 骨組織 / 細胞挙動 / 人工骨 / チタン合金 / in vitro / in vivo |
研究実績の概要 |
今年度は、【目的①:細胞が金属組織を認識する条件の解明】と【目的③:in vitroとin vivoにおける細胞の金属組織への応答性の解明】に関する実験を実施した。 最初に、細胞の遊走制御を金属組織によって実現するために必要な、金属組織制御法について検討した。Ti-6Al-4V ELI合金(Ti64合金)、Ti-15Zr-4Nb-4Ta合金(Ti-1544合金)、Ti-6Al-7Nb合金(Ti67合金)、そして、当研究室で開発中のTi-Mo-O合金に対し、熱処理・加工処理による金属組織変化と機械的特性変化を調査した。Ti64合金とTi1544合金については、α+β2相組織の配向化制御が可能となった。また、Ti-Mo-O合金については、微細α+β組織と適切な酸素分配を利用して、Ti-64合金より高強度かつ延性に富む、新規合金の開発に成功した。その成果は学術雑誌にて論文公表した。Ti-67合金とTi-Mo-O合金についても、今後、金属配向化組織制御について検討する予定である。さらに、金属への細胞接着と関係する濡れ性や被覆材についても検討し、国際会議にて公表した。 配向化したTi64合金上のin vitro組織培養の結果、配向化した金属組織があっても、細胞が配向接着する場合と無配向接着する場合があり、それが組織中の元素分布によって支配されることも明らかにした。 金属基板上における細胞培養挙動を、in vivoにて解析する新規顕微鏡観察技術構築のために、配向化したTi64合金をマウスの頭蓋骨へ埋入し、その試料上での細胞挙動を蛍光観察できるか試みた。しかしながら、埋入試料が生体骨から離脱するなどの問題が起き、試料の骨への固定方法の検討が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「計画より実験が遅れている項目とその理由」 1.「in vitro細胞培養実験の遅延」:in vitroタイプラプス動画観察に必要な、細胞の染色をSPY555を用いて行ったが、細胞が培養途中で死滅してしまう問題が生じた。種々の実験からその原因は、細胞が金属上に十分に接着していない段階で染色作業を行ったためであることが明らかとなった。次年度は、その点を改善して実験を進める。 2.「in vivo実験の遅延」:マウスの頭蓋骨に埋入した試料が、生体骨に十分に固定されない問題が生じた。試料が骨から動かないように、固定する方法を次年度試みる。 3.「動物実験の遅延」:金属組織の配向化技術の確立が数ヵ月遅れたため、動物実験を年度内に開始できなかった。金属組織制御については、目処が立った合金があるため、次年度には動物実験も開始できる。
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今後の研究の推進方策 |
実験の遅延については、上記の項目で述べた点を改善すれば計画通り進むと考えている。 そして、本研究を推進するためには、共同研究者間での密な情報交換が必要と言える。そこで、次年度は、同一研究室内では、1,2週間に一回のペースで研究報告会を行うこととし、他研究室間では2か月に一回のペースで報告会を行うように研究代表者が日程調整する。
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