今後の研究の推進方策 |
金属―金属酸化物接合界面の自在制御法の確立を目指し,今後はスピネル型酸化物の金属種の組み合わせをさらに洗練させていくと共に,他の複合酸化物を触媒担体に用いた触媒材料の開発も進める.具体的には,元素の種類や組成の選択により結晶構造の対称性や遷移金属種の価数が系統的に制御できるペロブスカイト酸化物(ABO3)をセラミックス触媒担体とする予定である.Aサイトは希土類元素(Y, La, Gd, Yb)から選定し,BサイトはMn, Fe, Ni, Coから選ぶ.また,担持貴金属種としてはPd, Pt, Irを使用する.各種触媒に対して1000℃程度の高温で焼成することでMSI現象を誘発させる.SMSIを促す際は,300-900℃程度で水素還元する.触媒反応としては,排ガス浄化反応だけではなく,液相反応の一種であるアンモニアボランなどの脱水素反応についても検討する. スピネル型酸化物を利用したPd触媒においては,MSIおよびSMSI現象が上述したように制御可能である.そこで,スピネル型酸化物担持Pd触媒に対しては,焼成段階および還元処理段階の触媒構造の変化を,酸素ガスもしくは水素ガス存在下でのin situ XAFSやin situ XPSにより各金属種の電子状態ダイナミクスの可視化を図る.また,SMSI現象解明に対しては,還元ガス存在下での環境制御TEMによる「その場」観察を行う.特に,貴金属種と担体成分間の反応に伴う接合部の変化や,金属-金属酸化物接合界面の歪み等を捉える予定である.このような検討を基に,特異な金属―金属酸化物接合を司る学理を解明し,超高活性触媒の一般的構築法の確立を目指す.
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