研究課題
メタボライトセンサを利用した代謝進化工学系の基礎を確立するために、これまで開発を進めてきた人工転写因子およびGタンパク質共役型受容体(GPCR)を利用したメタボライトセンサを用いて、目的とする代謝物を検出できるレポーターアッセイ系を構築した。また、レポーターとして緑色蛍光タンパク質(GFP)の蛍光強度を指標にして、目的とする各種の代謝物の濃度を簡易的に評価できる系を構築した。目的代謝物の外来生合成経路の酵素群を酵母に導入し、さらに加えた代謝経路の中での律速点を調べるために、それらの酵素群を異なる発現強度をもつプロモータセットを用いて追加で強発現する組み合わせを発生させたライブラリを構築し、前述のメタボライトセンサによるアッセイ系を利用して目的代謝物の生産性を網羅的に評価した。また、目的代謝経路中の酵素遺伝子群のコピー数をランダム化したライブラリを構築し、同様にメタボライトセンサを用いて高生産株スクリーニングを行った。スクリーニングにより取得した菌株の中から高い蛍光強度を示す組換え体を選別して、生育や生産性を詳細に評価した。さらに、導入された遺伝子やプロモータのシーケンス解析を実施し、最適な発現バランスや律速となる酵素遺伝子の同定を行った。これらの研究を通じて、メタボライトセンサを利用した代謝進化工学系のプロトタイプを構築した。これらの成果について、国内外の学会および研究会において発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
目的とする代謝物に対して、それぞれ人工転写因子およびGタンパク質共役型受容体(GPCR)を利用したメタボライトセンサを構築し、多様性を発生させるライブラリを構築してスクリーニングが可能なことを示した。以上のように、研究は計画通り順調に進展している。
これまでに開発してきたメタボライトセンサと高速スクリーニング用の評価系を用いて、さらなる代謝進化工学の基盤を高度化する。また、メタボライトセンサ自体の高度化を進めるとともに、ライブラリ多様性の発生手法についても開発を進める。これらの研究を通じて、メタボライトセンサを用いた酵母の代謝進化工学系の確立を目指す。
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バイオサイエンスとインダストリー
巻: 81 ページ: 234-236