ナノ中空粒子の微小空間による超断熱異常場が存在することが、これまでの研究結果から予見されている。しかしながら、この異常場の詳細は未だ解明されていない。本研究では温度応答(サーモクロミック)現象をベースとして微小空間による超断熱異常場の学理探求を行う。研究成果から得られた新たな材料設計指針により実用的材料への展開を期待する。具体的には、温度応答性(サーモクロミック:TC)遮熱機能とナノ中空粒子による超断熱効果を併せ持つ粒子の設計および合成ルート方法を検討する。この複合粒子をポリマーに充填するフィラーとすることで、冷暖房の消費電力を大幅に削減可能な夏冬を問わず省エネに貢献しうるスマートウィンドウ (SW)フィルムの研究開発を行う。特にサーモクロミックナノ粒子とナノ中空粒子の重畳効果による異常場での温度応答制御が実現可能である新しい機能性粒子の材料研究を実施する。 上記目的を達成するために、初年度は、ナノ中空粒子の合成条件の検討を行った。異常場の効果が顕著となるようナノ中空粒子のさらなる微小化を行い、その合成法について検討を行った。さらにサーモクロミック材料の選定を行い、ナノ中空粒子への表面修飾や内包化のための方法について検討を進めた。微小空間を反応場とする前駆体からのサーモクロミック材料合成に特異性が見出された。
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