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2023 年度 実績報告書

超短パルスレーザー加工により調製された原子層物質エッジ面の物性と反応

研究課題

研究課題/領域番号 23H01844
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

吉信 淳  東京大学, 物性研究所, 教授 (50202403)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード層状化合物 / 原子層物質 / エッジ状態 / 表面分光 / 触媒
研究実績の概要

本研究は遷移金属ダイカルコゲナイドなど層状物質単結晶のエッジ面を超短パルスレーザー加工により調製する方法を確立し、顕微光電子分光・顕微ラマン分光・顕微赤外分光・和周波発生・電子回折などの複数の表面分析法で評価する。具体的には、MoS2触媒の活性点と考えられてきたエッジ面の電子状態化学状態を解明するとともに、様々な分子とエッジ面との相互作用を調べ、反応性・触媒作用を明らかにする。本研究ではレーザー加工でエッジ面(数100μm~1mm幅)を作製し、上記の表面分光を用いて実験的に観測する。モデル化したエッジ面の第一原理計算とあわせて、その物性・反応性を解明し、学理構築をめざす。
2023年度の研究実施計画に従って以下の研究を行った。
(1)真空中およびよく規定された雰囲気中でのレーザー加工および加工後に大気曝露せずに試料 を移動することができるレーザー加工・移動セルを試作した。実際に真空中でレーザー加工切断したMoS2エッジを放射光光電子分光で調べたことろ、酸化物が極めて少なく、炭素を含む不純物が少ないエッジ表面を調製することができた。
(2)レーザー加工で作製したエッジ面を超高真空中で加熱し、清浄化・活性化を行った。この表面に、水素、水、二酸化炭素に曝露し、エッジ面の反応性を放射光による顕微X線光電子分光で調べた。その結果、これらの分子はエッジ面と反応していることがわかった。
(3)気体雰囲気中における活性化されたエッジ面の吸着種や反応物・生成物について顕微赤外吸収分光と質量分析によるオペランド観測を行うための真空対応の反応セルを設計・試作し、性能テストを行った。
(4)サブミクロン電子ビーム(1~2keV)による走査電子顕微鏡および局所オージェ電子分光装置によるMoS2エッジ面の実空間観察と電子分光を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度当初に設定した研究実施計画に従って研究を進めた。その結果、レーザー加工・移動セルが極めて効果的なことが判明した。また、既設のサブミクロン電子ビーム(1~2keV)による走査電子顕微鏡および局所オージェ電子分光装置によるMoS2エッジ面の実空間観察と電子分光などにも着手した。エッジ面の電子状態および水分子との反応について,原著論文の投稿準備中である.

今後の研究の推進方策

2024年度以降の研究実施計画に沿って、着実に研究を進める。局所Auger電子分光、顕微光電子分光、顕微FTIR、顕微ラマン分光など様々な手法でエッジ表面を評価する。さらに、顕微赤外吸収分光と質量分析によるオペランド観測を行うための反応セルを利用して、気体や液体中における活性化されたエッジ面の吸着種、反応物、生成物について研究する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Hydrogen‐induced Sulfur Vacancies on the MoS2 Basal Plane Studied by Ambient Pressure XPS and DFT Calculations2023

    • 著者名/発表者名
      Ozaki Fumihiko、Tanaka Shunsuke、Choi YoungHyun、Osada Wataru、Mukai Kozo、Kawamura Mitsuaki、Fukuda Masahiro、Horio Masafumi、Koitaya Takanori、Yamamoto Susumu、Matsuda Iwao、Ozaki Taisuke、Yoshinobu Jun
    • 雑誌名

      ChemPhysChem

      巻: 24 ページ: e202300477

    • DOI

      10.1002/cphc.202300477

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Electronic states and reactions of a MoS2 edge surface prepared by laser cutting2024

    • 著者名/発表者名
      Fumihiko Ozaki, Shuntaro Tani, Shunsuke Tanaka, YoungHyun Choi, Wataru Osada, Kozo Mukai, Masafumi Horio, Takanori Koitaya, Susumu Yamamoto, Iwao Matsuda, Yohei Kobayashi, Jun Yoshinobu
    • 学会等名
      Joint Workshop on "THz and SFG spectroscopy and related phenomena in Solid-State Physics and Surface Science"
    • 国際学会
  • [学会発表] 真空中レーザーカットにより作製した MoS2エッジ清浄面の電子状態と反応性2024

    • 著者名/発表者名
      尾崎文彦、谷峻太郎、田中駿介、王天楽、 長田渉、向井孝三、小林洋平、吉信淳
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] レーザー切断したMoS2エッジ面の電子状態と反応: 雰囲気光電子分光による研究2023

    • 著者名/発表者名
      尾崎文彦、谷峻太郎、田中駿介、崔永賢、向井孝三、堀尾眞史、小板谷貴典、山本達、松田巌、小林洋平、吉信淳
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会(2023年)
  • [学会発表] 雰囲気光電子分光とDFT計算によるMoS2基底面の水素誘起硫黄空孔の電子状態2023

    • 著者名/発表者名
      尾崎文彦、田中駿介、崔永賢、向井孝三、河村光晶、福田将大、 堀尾眞史、小板谷貴典、山本達、松田巌、尾崎泰助、吉信淳
    • 学会等名
      表面界面スペクトロスコピー2023

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公開日: 2024-12-25  

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