研究課題/領域番号 |
23H01929
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
沖野 友哉 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (40431895)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 運動量画像法 / 円二色性分光 / 超高速分子ダイナミクス / 円偏光 / 数サイクルパルス |
研究実績の概要 |
2023年度は、(1) マルチスケール飛行時間型質量分析装置の動作確認、(2) 円偏光数サイクルパルスのキャラクタリゼーション手法の開発および(3)イベント駆動型イメージセンサーを用いた光電子運動量画像計測のための装置設計を行った。 (1)では、通常の速度投影型運動量画像(VMI)計測装置に、蛍光寿命が720 psと極めて短いMCP/phosphor検出器と高速光電子増倍管および高速デジタイザ(14-bit,10 GS/s)を採用し、VMI法の高いイオン捕集効率を保持したまま、サブnsの時間分解能でフラグメントイオンの検出器到達時間を記録可能な装置とした。高速デジタイザは時間分解能が高いため、波形ピークのカウンティング解析が可能であり、MCPの電子増倍の分布を補償した定量性の高い計測が可能であることを確認した。 (2)数サイクルパルスでは、一般にスペクトルが広帯域であるため、スペクトル位相が揃っているか、そして、円偏光度が波長ごとに一定であるかは自明ではない。偏光度は複屈折ウェッジを用いたフルストークスカメラを用いてキャラクタリゼーションを行うこととし、計測系の準備を行った。 (3)では、イベント駆動型イメージセンサーを用い、1 kHz以上の繰り返しで、リアルタイムで輝点のカウンティングおよび重心解析を行い、サブピクセルの分解能で運動量画像を計測する。既存のVMI装置はイオン検出器に特化したものであり、磁場遮蔽が十分ではない。2023年度は、低速の運動エネルギーを有する光電子の運動量画像の観測が可能となるよう磁場遮蔽チェンバーの設計を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数サイクルパルスの安定な発生が出来ず、キャラクターゼーションを行うまでには至らなかった。また、磁気遮蔽を施した光電子運動量画像計測用真空チャンバーを設計し製作することを目標としていたが、設計方針の変更により設計が完了せず、製作するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
光電子運動量画像計測のための電極系の設計に注力し、磁気遮蔽を施した光電子運動量画像計測用真空チェンバーの製作を実施する。また、基本波の出力安定性の改善により、安定した数サイクルパルスの発生を可能とし、円偏光数サイクルパルスの発生を実現する。イベント駆動型イメージセンサーについては、データ解析系のプログラム作成がまだ不十分であることから、オフライン解析システムの開発を行う。
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