研究課題
グアニン4本鎖(G4)が種々の病気に関与していることが知られてきた。ヒトゲノムDNA上の推定G4形成配列(PQS)が多数存在することがバイオインフォマッテクス解析から明らかになっているが、本研究では真のG4形成配列を分析する試薬として、G4構造に選択的に結合し、その部位を切断する人工ヌクレアーゼを開発する。このためにG4選択的結合リガンドとしての環状フェロセン化ナフタレンジイミド(cFND)およびDNAの切断可能なモチーフであるAUCTNを有するcNDI-CuGGHEの開発と、ジチオテレイトール(DTT)存在下でフェロセン部のFe2+と溶存酸素との反応により生じるスーパーオキシドアニオン(O2-・)やヒドロキシラジカル(OH・)によりG4 DNAを切断できることを証明する。人工ヌクレアーゼによる切断部位からゲノム上の真のG4の位置が決定できる。その実施例として最近注目されている神経疾患に関与するゲノム上の遺伝子配列上の真のG4形成部位を確定する。このアイデアが実現できれば、ゲノムDNA上の真のG4部位の特定が実現できると期待される。核心をなす学問的「問い」は、(i) cFNDもしくはcNDI-CuGGHEが選択的にG4構造に結合可能か。(ii) cFNDのフェロセン部位を利用してDNA切断が可能か(G4選択的ヌクレアーゼの創製)。cNDI-CuGGHEによってDNA切断が可能か、(iii)本提案によって、細胞内での真のG4部位分析試薬が創成し、生命現象におけるG4の働きを調べることができるか、である。初年度は(a)cFND、NDI-CuGGHの創製、(b)cFND、NDI-CuGGHとDNAとの相互作用解析、(c)cFND、NDI-CuGGHの結合に伴うG4 DNAの構造変化の評価について検討を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
NDI-CuGGHについてDNA切断迄確認ができた。
今後は以下の検討を行う。(1) cFNDのG4 DNA部位での切断活性評価について電気化学測定、ゲル電気泳動、HPLCによって確認する、(2)ゲノム上のG4部位解析に向けての予備検討として、PCR産物でのモデル実験を行い、Cut&Tag法を本系に適用する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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