研究実績の概要 |
本申請研究は,層状希土類水酸化物(LRH)の層状構造に由来する帯電種束縛層を保持しつつ,水分子が関与する構造変化に基づく高機能不均一系触媒の開発を目指すものである.2023年度は,酢酸アニオン内包型RE-LRHの合成と水分子によるリフトアップ挙動の解明および反応促進作用を検討するため,ランタノイドの中で地殻存在度が比較的大きく,奇数の4f 電子数を有するNd3+, Sm3+, Gd3+, Dy3+, Er3+およびYb3+で構成されたLRHをアルカリ共沈法もしくは水熱法により合成し,アニオン交換反応を駆使してCH3COO-/RE-LRHを合成した.得られた各種LRHは,水により迅速に層空間が拡張し,希土類カチオン種の種類に寄らず1.30nm程度の底面間隔を有する層状構造が形成されることがXRD測定結果から確認できた.また,アルカリ共沈法あるいは水熱法で合成したものについて,水分子によるリフトアップ挙動に差異はないことも確認できた.これに加え,偶数の4f電子数を有するLa3+,Pr3+,Eu3+,Tb3+,Ho3+,Tm3+,Lu3+についても同様の検討を行った結果,すべての場合でリフトアップ挙動が確認できたことから,広範の希土類元素で構成される酢酸アニオン内包型LRH化合物群に特有の現象であることを示すことができた.得られた各種触媒を水溶媒中でのクネベナーゲル縮合反応に用いたところ,すべての触媒で反応が進行することが確認できた.この内容は,2023年のイオン交換研究発表会にて公表済みである.
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