研究実績の概要 |
次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト(PVK)太陽電池の直流からTHz領域にわたる超広帯域での電流の時間的・空間的変化、およびヘテロ界面における分極構造を可視化できる計測するため、研究代表者独自の手法であるレーザーテラヘルツ放射顕微鏡/分光(LTEM/LTES)をより高速・高感度手法である新規計測システムを開発する。本年度は、上記の高速・高感度検出の基盤整備として、特に高繰り返し周波数のTHz検出システムの開発を行った。従来のシステムでは、THz波検出器である光伝導アンテナからの信号は励起レーザーの繰り返し周波数である80MHzのパルス信号を、機械的に数kHz程度の変調信号に変換しロックイン検出していた。本年度は、レーザーの変調に音響光学変調器(AOM)、光伝導アンテナからのパルス信号の積算にBoxcar 積分器を用いて、信号検出を行った。本年度は、そのための光伝導アンテナの出力特性評価を行なった。その結果、AOM を用いて,8, 16, 40 MHz でのポンプ光の変調を行い, それと Boxcar 積分器を組み合わせたシステムの構築および計測ソフトウェアの開発を行い、THz 電磁波の計測が可能であることを示した。しかし、AOM によって高速変調されたポンプ光を用いて測定されたTHz 波形は, 機械式チョッパーにより2 kHz で変調した場合と比較して, ロックイン検出の場合は 11dB~22dB 程度, Boxcar 積分器の場合は, 15 dB~22 dB 程度 信号雑音比(SNR)が低いことが分かった。今後、テラヘルツ検出器とアンプのマッチングの改善などを行い、SNRを向上させる。
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