研究実績の概要 |
本課題ではSELEXによって得られたRNAをリード化合物にして、さらに化学修飾基を導入した約20,000種類程度の修飾RNAを搭載したRNAアプタマーアレイを数十枚合成し、蛍光ラベル化した標的化合物との結合能測定に活用することで、結合の高い修飾RNAアプタマーの選別を行う。40量体を超える多種類のRNAを搭載したRNAアプタマーアレイの高純度合成は非常に困難であり、これまでに報告例はないが、本研究課題では独自に開発した革新的RNA合成技術(2’-O-ビニルRNAユニットと活性化剤内包型固相担体を利用したRNA合成、および高密度合成が可能なフローシステム)を基盤にして、そのRNAアプタマーアレイの合成を達成する。 2023年度は、2’-O-ビニルウリジン5’-ホスホロアミダイトユニット、および2’-O-ビニルウリジン3’-ホスホロアミダイトユニットの高効率合成法の確立を行なっただけでなく、この合成法が大量合成スケール(数十グラムスケール)にも適用可能であることを明らかにした。また、2つのホスホロアミダイトユニットの合成工程数と収率を比較すると、5’-ホスホロアミダイトユニットの合成工程数は3’-ホスホロアミダイトユニットより2工程多いものの、5’-ホスホロアミダイトユニットの方が、全工程収率は2.5倍以上高いことが分かった。さらに、独自で開発したフローシステムを用いて40量体のRNAを合成し鎖伸長効率を詳細に調べたところ、反応時間2分間で5’-ホスホロアミダイトユニットでは99.9%以上、3’-ホスホロアミダイトユニットでは99.6%とDNA合成に近い、非常に高い合成効率で合成できることが分かった。現在では、これらの知見をもとに、他のヌクレオシドのホスホロアミダイトの合成し、それらの鎖伸長効率を調べている。
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