研究課題/領域番号 |
23H02241
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
境 優 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島地域協働研究拠点, 主任研究員 (10636343)
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研究分担者 |
小泉 逸郎 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50572799)
根岸 淳二郎 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90423029)
福島 慶太郎 福島大学, 食農学類, 准教授 (60549426)
岩崎 健太 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70723047)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 湧水 / 底生無脊椎動物 / 魚類 / 群集 / 地下水 / 河川生態系 / 食物網 |
研究実績の概要 |
湧水支川・非湧水河川の組み合わせのなかで、(1)「避難場所」として魚類が湧水支川に移入したとき、捕食等により無脊椎動物群集の単純化やバイオマスの減少が起こるかどうか、(2)「産卵場所」として魚類が湧水支川に移入したとき、卵や死体が無脊椎動物等に消費されるかどうか、(3)湧水支川への連結性が高いとき、魚類の個体群の存続性や種多様性が高いかどうかを検証するための調査を始動させた。 (1)では、魚類の避難行動が卓越すると考えられる夏・冬期を含めて底生無脊椎動物群集の構造・バイオマスの季節変化を定量的に追跡するための調査を開始した。(2)では、秋の産卵期を含めて上記野外調査と並行して炭素・窒素安定同位体比を測定するための試料採集を進めた。(3)では、関連するデータの収集と解析に着手した。これらの調査で収集された試料およびデータの処理を進めることによりそれぞれの仮説を検証するためのデータセットを得ることができる。湧水・非湧水河川で対照的に異なる物理・化学環境を把握するために、流量・温度・水質等についても観測・分析を進めている。以上の野外調査では、湧水・非湧水環境の相互作用に関わる一般性の高い知見を得るために、複数の調査地を対象として上述の調査項目について相補的に調査・観測を進めている。研究開始年度であるため、試料・データの収集が主要な研究目的ではあったものの、本研究に関連した論文発表や講演発表も本年度内に実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に合わせて野外調査を進めることができ、着実に試料およびデータが蓄積している。また、本研究の開始をきっかけに河川生態系における湧水環境の多様性ついて議論が展開し、既存知見の整理が進みつつある。広域データに関する収集・解析も予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
季節的な野外調査を継続するとともに試料の処理・分析を進めることで仮説検証に必要なデータセットを構築する。また、既存知見の整理によって総説の作成も進める予定である。引き続き、学際的視点を重視しつつ非生物・生物的プロセスの統合をめざし、河川生態系に普遍的にみられる湧水・非湧水環境における生物間相互作用の解明を進める。
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