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2023 年度 実績報告書

地形モニタリング手法とシミュレータの開発による土石流予測の高精度化

研究課題

研究課題/領域番号 23H02250
配分区分補助金
研究機関静岡大学

研究代表者

今泉 文寿  静岡大学, 農学部, 教授 (80378918)

研究分担者 西井 稜子  新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00596116)
高山 翔揮  静岡大学, 農学部, 助教 (10908619)
早川 裕弌  北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70549443)
中谷 加奈  京都大学, 防災研究所, 教授 (80613801)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード土石流 / UAV / シミュレーション / LiDAR
研究実績の概要

大谷崩(静岡県), 七面山(山梨県),Taschgufer(スイス)の3つの観測サイトにおいて,地形計測と土石流観測を実施した。岩盤の土砂生産プロセスや不安定土砂の貯留状況を観測・調査により調べるとともに,異なる手法(UAV-SfM,UAV-LiDAR,地上型自動観測LiDAR)による地形計測実施し,各地形手法の特徴を検討した。その結果,大谷崩ではUAV-SfM(ドローンによる多地点写真測量)により,土石流発生前後の地形変化を,土石流発生地点から停止地点まで把握することができた。また七面山ではUAV-SfMにより,岩盤からの土砂生産の様子を広域的にとらえることができた。TaschguferではUAV-SfMにより,土石流の材料となる土砂の生産状況と土石流の発生との関係性についての基礎データを蓄積・解析した。大谷崩でUAV-LiDAR(ドローン搭載型レーザースキャナによる測量)を実施したところ,森林内の土石流の流下状況を把握できる可能性があることがわかった。さらに地上型自動観測LiDARによる土石流観測を大谷崩において行い,構造物が入っていない自然渓流を流下する土石流の3次元点群データの取得や,土石流による土砂の堆積の動的な把握に,世界ではじめて成功した。
これらの研究と並行して,不飽和土石流や不飽和堆積物上を流下する土石流に関する物理モデルの検討や室内実験,既往の土石流シミュレータの課題と今後の拡張についての検討を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定通り,AV-SfM,UAV-LiDAR,地上型自動観測LiDARという3つの観測手法により土石流渓流の地形計測を行うことができた。地上型自動観測LiDARによる土石流の3次元点群データの取得や,土石流による土砂の堆積の動的な把握といった,世界的にみても貴重な成果を残すことができた。また不飽和土石流に関する研究を大きく進めることができ,論文や学会発表により公表することができた。

今後の研究の推進方策

静岡県大谷崩は,アクセスがよく,また土石流の発生頻度が高いため,様々な地形計測手法を実践するうえで最適なサイトであることが明らかとなった。そこで,大谷崩において土石流の集中的な観測を実施する。山梨県七面山は,土石流の材料を生産する岩盤の侵食状況を把握する上で最適なサイトであるため,今後は土砂生産プロセスの解明に力点を置いた研究をすすめる。
室内実験や物理モデルの検討により,土石流が流下する河床の体積含水率が,土石流の挙動に大きな影響を与えることが示唆された。そのため引き続き実験や物理モデルの検討をすすめるとともに,現地の河床の体積含水率の観測を新たに開始する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] University of Geneva(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      University of Geneva
  • [雑誌論文] Field monitoring of pore water pressure in fully and partly saturated debris flows at Ohya landslide scar, Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Oya, S., Imaizumi, F., Takayama, S.
    • 雑誌名

      Earth Surface Dynamics

      巻: 12 ページ: 67~86

    • DOI

      10.5194/esurf-12-67-2024

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Depth-averaged mixture model for development processes of debris flows over a steep unsaturated mobile bed2024

    • 著者名/発表者名
      Takayama, S., Karasawa, R., Imaizumi, F.
    • 雑誌名

      Landslides

      巻: 1 ページ: 1

    • DOI

      10.1007/s10346-023-02202-8

  • [雑誌論文] Experimental study on the effects of local sediment accumulation on a debris flow surge in a steep channel2023

    • 著者名/発表者名
      Takayama, S., Hayashi, N., Imaizumi, F.
    • 雑誌名

      Proceedings of 8th International Conference on Debris Flow Hazard Mitigation

      巻: 1 ページ: 01026

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Initiation and runout characteristics of partially saturated debris flows in Ohya landslide scar, Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Imaizumi, F., Oya, S., Takayama, S.
    • 雑誌名

      Proceedings of 8th International Conference on Debris Flow Hazard Mitigation

      巻: 1 ページ: 03013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Debris-flow activity in the Japanese Alps is controlled by extreme precipitation and ENSO ? Evidence from multi-centennial tree-ring records2023

    • 著者名/発表者名
      Ballesteros-Canovas, J. A., Kariya, Y., Imaizumi, F., et al.
    • 雑誌名

      Global and Planetary Change

      巻: 231 ページ: 104296~104296

    • DOI

      10.1016/j.gloplacha.2023.104296

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 荒廃渓流源頭部における土石流流下特性と間隙水圧との関係2023

    • 著者名/発表者名
      高橋英成, 今泉文寿, 高山翔揮, 蓮容龍信
    • 学会等名
      令和5年度砂防学会研究発表会
  • [学会発表] 渓流源頭部における土石流の発生・発達過程に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      高山翔揮, 今泉文寿
    • 学会等名
      令和5年度砂防学会研究発表会
  • [学会発表] Grain Size Distribution Characteristics of Debris Flow Torent in Ohya Landslide, Central Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Dahal., S., Imaizumi, F.
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Field monitoring of pore-water pressure in debris flow2023

    • 著者名/発表者名
      Imaizumi, F., Oya, S., Takayama, S.
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union 2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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