研究課題/領域番号 |
23H02283
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西谷 豪 東北大学, 農学研究科, 准教授 (70450781)
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研究分担者 |
中山 奈津子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (20612675)
夏池 真史 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部 函館水産試験場, 主査 (30772222)
山本 圭吾 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 総括研究員 (80503937)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 有害有毒プランクトン / 寄生生物 / 低減・防除 / 寄生性渦鞭毛藻 / 赤潮・貝毒 |
研究実績の概要 |
本報告書では、5年間の研究期間のうち1年目の実績報告となる。申請時には下記の5項目について研究を実施することとした。1) アメーボフリア属の国内分布状況、種の多様性、出現の季節性、宿主動態との関係性 2) アメーボフリア属の生活史(宿主がいない時期、アメーボフリアはどこに?) 3) アメーボフリア属が寄生する際の至適条件(寄生が起こりやすい環境は?) 4) アメーボフリア属の安定かつ長期の保存方法 5) アメーボフリア属の生態系(他のプランクトンや水産物)に対する安全性 1年目はまず、日本沿岸域の複数地点(10地点以上)から海底堆積物を採取した。堆積物からDNAを抽出したところまで終えた。今後、アメーボフリア特異的プライマーを用いてPCRを行い、国内の分布状況、種の多様性を明らかにする予定である。また、アメーボフリアの安定かつ長期保存法の開発に注力した。宿主(アレキサンドリウム属)に実験室内にてシストを形成させ、そこにアメーボフリアを封じ込めて長期保存する方法の開発を試みた。まだ数多くのシストには封じ込めができていないが、少数のシストにアメーボフリアを封じ込めることには成功した。 業績として、広島で行われた国際有害有毒藻類学会にて、アメーボフリアに関する発表を2件、仙台で行われた日本水産学会秋季大会にて、アメーボフリアに関する発表を1件行った。アメーボフリアに関する原著論文を1報、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した5年間のタイムテーブルでは、下記のように記載している。現場海域におけるアメーボフリアの分布状況、種の多様性、出現の季節性については、1年目から5年目までの5年間実施。アメーボフリアの生活史の解明については、2年目から3年目の2年間実施。室内培養実験におけるアメーボフリアの感染至適条件の解明については、3年目から4年目の2年間実施。アメーボフリアの安定かつ長期の保存法開発については、1年目から4年目までの4年間実施。アメーボフリアの他のプランクトンや水産物に対する安全性試験は、4年目から5年目の2年間実施となっている。このうち、1年目に行うべき項目として、アメーボフリアの現場海域における堆積物の採取、室内培養における長期保存法の開発の2つの内容については概ね実施できている。学会発表3件と論文1件(投稿中)を行っているので、成果の公表も概ね順調と思われる。現時点において、特に研究の問題点は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
1年目ではまだ海底堆積物の採取が不十分であるため、今後さらに日本沿岸域から海底堆積物を採取し、日本全体においてアメーボフリアの分布状況と生活史を解明する予定である。また、宿主シストへのアメーボフリアの封じ込めについて、さらに条件検討を行い、長期保存法の開発を目指す。
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