研究課題/領域番号 |
23H02323
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西田 和弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90554494)
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研究分担者 |
吉田 修一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90355595)
塚口 直史 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40345492)
宮坂 加理 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (00780173)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 冷水害 / 高温登熟障害 / 水温 / 灌漑 / 窒素濃度 / 米の収量 / 米の外観品質 / 玄米タンパク質含有率 |
研究実績の概要 |
昨年度は,灌漑水の条件および水管理が,水田の水分・熱・窒素環境,および,米の収量・品質に与える影響の解明のための基礎データの収集を目的に,低温の用水の流入による冷水害の発生が問題となっている福島県南会津市の水田,夏の高気温に伴う高温登熟障害の発生が問題となる東京都西東京市の水田を対象に現地調査を実施した。各水田において,水田の熱・窒素環境(窒素は東京のみ),米の収量(単収,登熟歩合等の収量構成要素)・外観品質(各種未熟粒割合),玄米の窒素(タンパク質)含有率の水田内分布を測定した。また、今後の数値モデル作成・検証,分析に必要な,水田の基礎情報(栽培履歴,肥培管理情報,水田の水収支(灌漑水量,浸透量,蒸発散量)等のデータ収集を行った。 その結果,低水温の灌漑水を用いる福島県の水田では,水口に近いほど,水温が低く収量が低くなる温度・収量の分布が形成されること,生育初期の水温と,収量や青未熟粒割合に正の相関が見られることが明らかになった。また、低水温・高窒素濃度の灌漑水を用いる東京都の水田では,水口に近いほど,水温は低く田面水の窒素濃度が高くなる温度窒素濃度分布が形成されること,また,水口に近いほど,米の窒素(タンパク質)含有率が高く,白未熟割合が低くなる分布が形成されることが明らかになった。また,今後の分析に必要な,栽培管理条件,各圃場の水田の浸透量や蒸発散量等のデータを取得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冷水害が問題となる福島県の水田における水田内の水温分布と米の収量・品質分布,高温登熟障害が問題となりかつ高窒素濃度低水温の灌漑水を用いる東京都の水田において,田面水の窒素濃度,水温と,米の収量・品質・窒素含有率の分布を取得することができた。また,今後の分析に必要な,栽培管理条件,各圃場の水田の浸透量や蒸発散量等の基礎データを取得することができた。今後もデータの蓄積を継続して行う必要があるが,データ収集については順調にすすんでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様の測定を継続して実施し,データの確実な習得を行う。 加えて,本年度は,灌漑に伴う田面水中の窒素濃度の変化を詳細に明らかにするために,時間解像度の高い水質サンプリングを実施し,数値モデルのプロトタイプの作成に取り組む。また,ドローンを用いた水温測定の精度検証,植生指数に基づく水稲の生育予測に必要な各種データの取得を行う。
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