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2023 年度 実績報告書

植物個体から細胞までのリン酸輸送地図の作成

研究課題

研究課題/領域番号 23H02338
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

菅野 里美  名古屋大学, 高等研究院, 准教授 (20586010)

研究分担者 石崎 公庸  神戸大学, 理学研究科, 教授 (00452293)
古川 純  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40451687)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードリン / 根 / イメージング / リン酸応答
研究実績の概要

本研究は、土壌に投与した肥料がどれほど植物に吸収され、体内で分配・代謝されるかを理解し、植物が一生のうちにどれほどの元素量を必要とするかについての答えを得るための基礎研究である。そのため、本研究は、植物が過不足をどう認識し、吸収・分配を制御しているのかを理解することを目指し、栄養元素のトレーサイメージング解析、リン酸の化学形態の解析、リン酸応答マーカー遺伝子の発現イメージを統合し植物のリン酸輸送機構を検証する。本研究ではリンに注目した解析を進めるが、将来的に他の元素(K、Fe、Sなど)への応用も可能である。
今年度は、本計画で使用する生体内の元素の挙動を解析系2つについて特許を出願した。どちらの解析系とも放射性同位体核種をトレーサとして使用し、放射線を蛍光体により可視光へと変換し、高感度のCMOSカメラによる検出系を基盤としている。シンチレータとCMOSカメラの間にシンプルなレンズ系を入れることでレンズによるシグナルロスを抑えながら拡大し細胞レベルの分解能を持たせた顕微鏡システムと、レンズを使わない高感度CMOS検出系と合わせて特許を出願した。技術について論文の執筆を進めた。
本実験では、シロイヌナズナとゼニゴケを使用する。シロイヌナズナでは、体内のリン酸量が異なるシロイヌナズナ個体でのリン酸挙動の違いについて解析、形質転換体の作成を進めた。ゼニゴケでは、データベースとRNAseqデータからリン酸輸送体の種類と発現部位について整理した。高等植物の根とは機能が異なると考えられている仮根において輸送体の得意的な発現がみられたことから、仮根のリン酸獲得能について生理学実験を進めた。先行研究で開発したCMOSイメージシステムを使って仮根先端に投与したトレーサの数十秒ごとの挙動を解析した結果、仮根からのリン酸吸収があることを示唆するデータが得られ研究発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゼニゴケのリン酸輸送機構について、高等植物の根とは機能が異なると考えられている仮根において輸送体の得意的な発現がみられたことから、仮根のリン酸獲得能について生理学実験を進めた。先行研究で開発したCMOSイメージシステムを使って仮根先端に投与したトレーサの数十秒ごとの挙動を解析した結果、仮根からのリン酸吸収があることを示唆する新規性の高いデータが得られているため、。
体内のリン酸量が異なるシロイヌナズナ個体全体でのリン酸トレーサの挙動の違いについて解析するための根圏を壊さずに異なる組成の培地へ移植するプロトコルを確立できたため。
シロイヌナズナのリン酸応答性遺伝子のうち、リン酸に比例して発現量が増加する遺伝子のプロモーターをマーカーとし、生体内でのリン酸応答レベルをモニター観察するための形質転換体の作成を進めた。コンストラクトを作成し終えたため。

今後の研究の推進方策

ゼニゴケの仮根の機能についてデータを引き続き取得する。輸送体の機能を脱共役剤やプロトンATPase阻害剤等の薬剤で失活させる、もしくは輸送体遺伝子の欠損株での実験データを追加して論文として報告することを目指す。
ゼニゴケについて、高等植物とは異なり維管束が無い中での体内輸送について研究を進める。そのための輸送体の変異体株の作出を行い、局所的に投与したリン酸トレーサの挙動解析方法により観察する。
シロイヌナズナについて、上記で確立した栽培方法を使い、体内のリン酸量と個体全体のリン酸トレーサの挙動の違いについてまとめる。qPCR実験を行い詳細な解析部分について絞り込むことを優先に進める。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] CEA/CNRS(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      CEA/CNRS
  • [雑誌論文] Reviewing impacts of biotic and abiotic stresses on the regulation of phosphate homeostasis in plants2024

    • 著者名/発表者名
      1.L. Nussaume, S. Kanno
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: 137 ページ: 1-5

    • DOI

      10.1007/s10265-024-01533-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Xylem K loading modulates K and Cs absorption and distribution in Arabidopsis under K limited conditions2023

    • 著者名/発表者名
      S.Kanno, L.Martin, N.Vallier, S.Chiarenza, T.Nobori, J.Furukawa, L.Nussaume
    • 雑誌名

      Frontier in Plant Science

      巻: 14 ページ: 10-13

    • DOI

      10.3389/fpls.2023.1040118

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] イメージングから考えるリン酸輸送・応答機構2024

    • 著者名/発表者名
      菅野里美
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] コケ植物ゼニゴケのリン吸収における仮根の機能について2024

    • 著者名/発表者名
      菅野里美、福村日向丸、 喜多晴哉、佐藤しおり、酒井友希、三村徹郎、近藤侑貴、深城英弘、石崎公庸
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] The Missing Link in the Evolution of Phosphate Transporters2023

    • 著者名/発表者名
      Satomi Kanno, Yosuke Hoshino, Kumiko Miwa, Pascale David, Thierry Desnos, Laurent Nussaume
    • 学会等名
      IRN France-Japan Frontiers in Plant Biology (FJFPB) Symposium 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 生物のリン酸獲得機構のミッシングリンク-進化から考える地球のリン酸環境の変遷-2023

    • 著者名/発表者名
      菅野里美
    • 学会等名
      第2回リンと生命の起源研究会
    • 招待講演
  • [図書] Plant Phoshorus Nutrition2023

    • 著者名/発表者名
      1.L. Nussaume, T. Desnos, Z. Jinsheng, P. David, M. Kumiko, and S.Kann
    • 総ページ数
      159
    • 出版者
      Taylor & Francis Group
    • ISBN
      9781032516523
  • [備考] 研究者総覧

    • URL

      https://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/html/100010731_ja.html

  • [備考] Reserchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/SatomiKANNO

  • [備考] 名古屋大学高等研究院

    • URL

      http://www.iar.nagoya-u.ac.jp

  • [産業財産権] 放射線の画像化器具、画像化装置および画像化方法並びに光学顕微鏡2023

    • 発明者名
      菅野里美 大西 崇文
    • 権利者名
      菅野里美 大西 崇文
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2020-171561

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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