研究実績の概要 |
1) RNAシャペロン機能の証明 HvCSD1-3に,細菌CSPとしての機能があることを証明する.大腸菌の CSP四重変異株BX04(cspA, cspB, cspE, cspG)は10℃で生育できないが,いずれかのCsp遺伝子の発現により相捕される.そこでBX04株に,HvCSD1-3の各遺伝子を導入して,相補性によりCSPとしての機能を検討した。HvCSD1-3遺伝子を導入したBX04株は15℃での生育不全を部分的に回復することが示された。しかし大腸菌由来のCspAに比べるとその機能回復は弱いため、RNAシャペロンとしての活性は弱いものと考えられた。 2) HvCSD1-3の発現解析 オオムギ品種「スノーファイバー」ゲノムにはCSD1及び CSD3が検出される。そこでこれらの遺伝子の発現を低温ストレス環境下で調べた。RT-PCR及びリアルタイムPCRを用いて検討したところ、両遺伝子とも24時間までの低温ストレスにより誘導されることがわかった。低温耐性獲得に関連した機能を有することが推定された。 3) HvCSD1-3の機能破壊・過剰発現株の作出 HvCSD1-3の機能を解明するため,オオムギ品種「ファイバースノー」,「ニシノホシ」を材料に、HvCSD遺伝子変異体作出を行った。各遺伝子を切断するように設計されたゲノム編集酵素(CRISPR/Cas9 RNP)を茎頂組織にiPB法を用いて導入した。変異体の解析は導入当代で行い、これまでに2株の変異個体を獲得している。
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