研究課題/領域番号 |
23H02366
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
井口 純 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00437948)
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研究分担者 |
菊地 泰生 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20353659)
小椋 義俊 久留米大学, 医学部, 教授 (40363585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 大腸菌 / 菌叢 |
研究実績の概要 |
家畜牛が保菌する病原細菌によるヒトでの腸管感染症は、公衆衛生上の問題となっており、安全な畜産物の持続的な生産の観点からも改善すべき課題である。本研究では、家畜牛の消化管に常在する病原細菌と腸内環境の空間的な特徴を総合的に理解し、病原細菌の生産段階における低減策の開発へと繋げることを目的とした。特に、感染者数が多く重症化しやすい腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)に注目して研究を進めた。食肉処理施設で2頭の家畜牛から消化管全体(第一胃から肛門まで)を取得し、上流から下流にかけて20箇所の検体を収集した。それぞれの検体(内容物)からDNAを精製し、16SrRNAによる菌叢解析とEHECのスクリーニングPCRを行った。さらに、それぞれの検体から選択分離培地を用いてEHECの分離を試みた。加えて、それぞれの検体から大腸菌(各検体につき最大20コロニー)を分離し、PCR法により血清型を決定した。菌叢解析の結果、菌叢の類似性は第一胃から第四胃、十二指腸から回腸、盲腸から直腸までの3箇所で大きく区分されることが明らかとなった。EHECは直腸のみから分離された。大腸菌は第一胃から第四胃と盲腸から直腸までで分離された。第一胃から第四胃では多様な血清型の大腸菌が確認されたのに対し、盲腸から直腸では大多数が特定の血清型であった。以上の結果より、牛消化管内における空間的な菌叢と大腸菌の分布の概要が明らかとなった。現在、菌叢とそれぞれの検体で見つかったEHECまたは大腸菌との関係についての解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年間4頭を計画していたが、菌叢解析の条件検討や分離株の詳細解析に時間を費やしたため、本年度は2頭の解析に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
菌叢解析の条件検討と分離株の解析方法が確立したため、計画通り、年間4頭の解析を行う予定である。
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